前回は、2024年度からリニューアルする実用英語技能検定(英検®︎)の主な変更点や大学入試を視野に入れた英検®︎受験スケジュールについてチェックしました。今回は、級ごとの具体的な変更点を、ライティングを中心に解説するほか、高校1・2年生、高校3年生、それぞれに向けた対策やアドバイスを紹介していきます。引き続きお話をしてくれたのは、ELEC同友会英語教育学会会長で学習指導要領の改訂にも関わっている本多敏幸先生です。
英検®︎3級・準2級ではEメール問題に注意
今回のリニューアルでは、いくつかの新しい出題形式が追加されます。まずは3級のライティングから見てみましょう。ここでは、Eメール文中に書かれた2つの質問に対し、同じくメール形式で返信を書く問題が追加されています。本多先生は「質問を理解し、正しい英文で答えられる力が必要」と述べたうえで「とくに着眼したいのはwhat, who, when, where, howなどを使った疑問文です。それらに対して、あらかじめ答え方を用意しておくことが、試験の成否を分けるでしょう」とアドバイスしてくれました。
準2級にも同じようなEメールの問題が追加されていますが、3級とは視点が違います。メール文中の指定語句に対して、受験者側が疑問文を2つ用意して、返信メールを作成する問題となっています。「気を付けてもらいたいのは、あくまでEメールでのやり取りということ」と本多先生は注意を呼びかけます。「実際にメールするときのように、冒頭と末尾に(例えばあいさつのような)適切な言葉を書くことも採点に関わります」。高校の授業では生徒自身が疑問文を作る機会は少ないかもしれません。そのため、より意識的に備えておくようにしましょう。
英検®︎2級・準1級・1級では要約問題に備えよう
2級以上で注目したいのは、ライティング分野に要約問題が追加されたこと。2級では150語ほどの英文を50語前後に要約することが求められます。「一連の文章中から重要な文を選び取り、読み手にわかりやすく伝えることを意識して」と、本多先生は『書く』練習をするうえでのポイントを教えてくれました。
準1級と1級では、英語記事を読んで要約する問題が追加されます。準1級が60〜70語、1級では90〜110語の要約文を作成します。とくに2級と異なるのは、「自分自身の言葉で要約する」ということ。伝えるべき情報を整理したり、整理した情報を自分自身の言葉で表現したりする練習がスコアを取るうえで不可欠です。本多先生によれば「First、Next、in conclusionといった転換語やalthough、howeverなどの接続詞を効果的に使うことが大事」ということです。
本多先生から各学年へのアドバイス!
英検®︎では、英語の文章を読んで理解して終わりではなく、読んだ内容について自分の考えをまとめたり、他の人に概要を伝えたりすることが重要になります。高校1・2年生では、文法や語彙の勉強に重点が置かれがちですが、実は『聞くこと』『読むこと』『話すこと』『書くこと』を身につけることが大切です。総合的な英語力を伸ばすことを意識してください。
高校3年生では大学受験対策がメインになるでしょう。しかし、大学入学共通テストも英検®︎同様に学習指導要領の内容に沿っています。よって、両者を隔てて考える必要はありません。どちらも英文を聞いたり読んだりしたうえで、要点や概要などを問う問題が出題されますので、その点を意識して備えましょう。
「英検®︎リニューアルの内容を反映した教材が出回るまで、まだ時間が要する可能性があります」と本多先生は指摘します。「ですが、勉強は工夫次第で何とかなります。字幕無しで洋画を観た後、今度は字幕ありで見直すなど、エンターテイメントを活用することもオススメです」。
そうして締めくくりに「英検®︎の勉強を通して、実際のコミュニケーション場面で役立つ英語力を身に付けてください!」とエールを送っておくれました。