大学入試には、一般選抜と学校推薦型選抜、総合型選抜があります。高校の授業で「総合的な探究」が必修となり、探究学習の結果を利用して総合型選抜を利用する受験生も増えています。そんな総合型選抜の現状について、連載します。今月は、総合型選抜に強い早稲田塾の中川敏和氏に話を聞きました。
求められる質がより高くなっていく
2024年度入試における総合型選抜は、前年度と比べて大きな変化はないものの、「多くの受験生にとって総合型選抜に挑戦しやすくなった年でした」と中川氏は話します。その理由は、必修となった「総合的な学習(探究)の時間」を通じて、より多くの高校生が大学入学後の研究テーマを見つけやすくなったこと、コロナが落ち着いて積極的に外部活動をする高校生が増えてきたことにあるそうです。
ただ、志望者が増えると求められる質も高度化します。多くの高校生が探究学習を武器にし始めた今、プラスアルファの力を証明する必要があります。
「いくら面接で探究学習のことをうまく話せても、ふだんの学習がまったくできていなければ説得力がありません。英検®、ITパスポートなどの資格試験や高校の評定平均値など資格や数字で、コツコツと努力できる人物でもあることを証明することも大切です」
そもそも、総合型選抜を受験するメリットは何なのでしょうか? 中川氏によれば「メリットは主に3つあります」とのこと。
「1つは早い時期に進路が決まること。2つ目は、総合型選抜の準備を通じて志望動機が明確になるので、大学での学びに生かせること。3つ目は、将来に向けたキャリアビジョンを持ちやすくなることです。それに加えて、プレゼンテーション能力といった伝える力も鍛えられるので、就職活動時にも役立ちます」
学年別! 総合型選抜対策の進め方
総合型選抜の対策は、どのように進めたらよいのでしょうか。高校1年生から順を追って見ていきましょう。
【高校1年生】
① 評定平均値を上げるなど、学校生活を大切に過ごす
② 部活動や課外活動、資格試験への挑戦などの活動をする
③ 将来の夢や目標に向き合い、それに向けたアクションを起こす
①については、評定平均値は3年間の成績で算出するからです。②は少しでも早く取り組むことで、後であわてずに済みます。
「③については、書籍や講演会、大学のオープンキャンパスを通じて、自分のやりたいことと近い研究をしている先生を探すとよいでしょう。やりたいことが見つからない人は、今まで生きてきた中で、悲しかったこと、うれしかったこと、大切に思うことなどを振り返り、自分の価値観と向き合いながら探してください」
【高校2年生】
① 自分のやってきたことを書き出す
② 具体的に志望学部学科、または方向性を決める
「①は、自分のやってきたことを見つめ直して言語化すること。たとえば、部活なら、そこから何を学んだか、どう成長したかなど書き出します。②に関してはできれば12月までに、遅くとも高3になる春休みには決めて準備を進めましょう」
【高校3年生】
① 大学のアドミッション・ポリシーを理解する
② 志望理由書を書いてみる
③ 他者の視点をもらって志望理由書をブラッシュアップする
「①は、暗唱できるまで読むくらいの気持ちで。②③は、高校や塾、保護者などいろいろな人に見てもらい、多様な意見を取り入れるためです。ただし、添削してもらうと自分の言葉でなくなるので、注意してください」
高3になってから総合型選抜を考える人もいるでしょう。その場合でも、準備が間に合わないからと諦めないでください。
「部活など、今までやってきた自分の高校生活を掘り下げ、志望大学とどう関連づけられるか考えましょう」
また、課外活動に関しては、早稲田塾のホームページ「探究に役立つ!高校生のための『課外活動』まとめサイトを参照すると便利です。
(https://www.wasedajuku.com/sns/aosuisen_uni/tankyumatome)