共通テストおよび一般選抜の戦い方 第1回

2025年度入試は、新課程が始まって初の入試となります。新課程の導入に伴い、入試の内容に変化があることは、多くの高校生がすでに知っていると思いますが、2025年度以降の入試に向けてどんな心構えが必要なのか、代々木ゼミナールで教育情報センター教育情報室 室長を務める木戸葵氏に話を伺いました。

 

 

2024年度入試の結果から今後の入試が見えてくる

 

2025年度入試について紹介する前に、まずは2024年度入試を振り返ってみましょう。そうすることで、今の入試の状況や傾向が見えてくるはずです。

「2024年度入試は、新課程での2025年度入試を控え、実力相応の志望校に出願する安全志向になると予測されていました。というのも、これまで入試改革が行われる時は、安全志向になる傾向が続いていたからです。ところが、フタをあけてみると共通テストの平均点が上昇したことも追い風となり、自分の希望する大学にしっかりチャレンジができた受験生が多かったと感じています」(木戸氏)

その理由は、近年の学校推薦型選抜・総合型選抜の人気にあるそうです。総合型選抜の募集人員が増加し、“年内に決めてしまいたい”という安全志向の受験生がそちらに流れやすくなっていることから、攻めるタイプの受験生が一般選抜に多くなるという二極化が進んだとのことです。

また、コロナ禍では地元で進学するケースが多く、都市圏への進学が減少傾向にありましたが、私立大学では関東首都圏に進学する人が増えてきました。ただ、関西は今も減少傾向にあるそうです。

「これは関東の大学数が圧倒的に多く、上位校の選択肢もたくさんあるため、目が向きやすいということが考えられます」(木戸氏)

つまり、首都圏以外の私立大学は、大学によっては志願者数が減少しているため入学しやすくなっているとも言えます。あくまで、自分の適性に合った大学選びが大事ですが、併願校を考えたり、受験や進学にかかるお金のことを考えた時に検討の余地がありそうです。

 

 

大学受験が変わる今、これまで以上に正しい情報収集が大切

 

では、2025年度入試は、具体的にどうなっていくのでしょうか? まず共通テストでは新課程によって様々な変更が見られます。その中でも顕著なのが新しく「情報Ⅰ」が課されることです。これまで5教科7科目だったのが、6教科8科目になり、国公立大学の志望者は勉強する科目の負担が増えます。また、試験時間が延びたり、配点が変わったりします。木戸氏は「変更に伴う情報をしっかり追いかけることが必要です」と話します。

「正しい情報を入手しておかないと、昨年の入試と同じだと思っていたのに違ったとか、受験科目が足りていなかったなどということになりかねません。変更点はしっかり把握しておきましょう」(木戸氏)

ただ、木戸氏は新課程になったからといって、問題が難しくなるとは考えていないそうです。

「出題者も、移行の初年度で受験生がどのくらいの点数を取れるかが予想できません。そのため、平均点が激しく変化するような出題がなされることはないと思われます。ただ、共通テストで差がつかないとなると、国公立大学入試の2次試験でどれだけ得点できるかが重要になるので、受験生にとってはよい面もあれば大変な面もあると言えます」(木戸氏)

さらに木戸氏はこう続けます。

「国公立大学の2次試験では記述式問題で、判断力や表現力が問われます。マーク式の共通テストとは問われ方が違うので、並行して勉強するのは負担が大きいですが、国公立大学の一般選抜は共通テストの受験を必須にしているため対策せざるをえません。一方、共通テストの受験が必須ではない私立大学を専願で考えている受験生にとって、問われ方が違う共通テストの勉強との両立は大変です。そのため近年は特に私立大学専願の受験生の間で“共通テスト離れ”が起きていると言われています」(木戸氏)

ただ、私大専願であっても共通テストを受験することで、私立大学の共通テスト利用の入試で合格チャンスが増えますし、基礎学力をしっかり身につけて大学に進学してほしいという意図で、生徒全員に共通テスト受験を課す高校もあります。単純に流れに乗るだけでなく、自分に何が必要かをよく見極めることも大切でしょう。

次回は、志望学部学科の傾向などを紹介します。

 

 

取材協力:木戸葵(きど・あおい)氏

代々木ゼミナール 教育情報センター教育情報室 室長

 

 

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