前回は、大きく3種類ある大学受験の入試のうち、最もオーソドックスな選抜方法である「一般選抜」について詳しく解説しました。今回は、大学が求める学生像に合致するかを選抜する自己推薦型の「総合型選抜」と高校の推薦を受けることで出願できる「学校推薦型選抜」についてチェックしていきましょう。
アドミッション・ポリシーが重視される「総合型選抜」
「総合型選抜」と聞いてもよく知らないという受験生も多いのではないでしょうか? 以前はAO入試と呼ばれていた入試方法で、東北大学が将来的に100%総合型選抜に移行する構想を発表するなど、近年では合格者が増えている選抜方法です。
「総合型選抜」は、大学が求める人物像に合致するかどうかを選抜基準にしているので、大学が公表している「アドミッション・ポリシー」を読めば大学がどんな学生に入学してほしいのかがわかります。例えば、明治大学経営学部では『高い外国語能力を獲得してグローバル社会で活躍したい者』、慶應義塾大学文学部では『慶應義塾の精神に対する十分な理解、および学問に対する意欲と向上心』、関西大学経済学部では『好奇心が強く、国際的感覚を持って、多角的な視野で社会の仕組みをとらえようとする意志を持っている』など、アドミッション・ポリシーは大学によって違います。必ず事前にチェックしておきましょう。
「総合型選抜」は早い時期からの準備や対策が必要
総合型選抜の出願時期は9月から10月。合格発表は11月以降に行われます。一般選抜や学校推薦型選抜と比べて早めに試験が実施されるので、それに合わせた準備や対策が必要になってきます。大学によっては、出願要件に夏休みなどに開催されるオープンキャンパスや説明会への参加が求められることもあるので、チェックしておくことが大切です。
選抜方法については、入学後の可能性を測るためそれぞれの大学が独自の選抜方法を採用しています。国公立大学では、書類審査、面接、小論文といった選考方法が一般的で、共通テストを課す大学も増えています。私立大学では、志望理由書や小論文、面接に力を入れている場合が多く、プレゼンテーションやグループディスカッションが課されることも。その学部・学科を志望する強い目的意識や学習意欲、高校時代にどんな活動や学びをしてきたかが問われます。最近は履修状況や成績推移を選抜基準にしたり、英検®資格、全国コンテストの入賞実績などを優遇条件にしたりする大学も増えています。志望する大学の募集要項をよく調べ、早めに対策を進めてください。
「学校推薦型選抜」には2種類。新たな年内入試も
「学校推薦型選抜」は、学校長の推薦を受けることで出願できる入試方式です。「指定校制」と「公募制」の2種類があり、「指定校制」は大学が指定する高校に限って出願できます。限られた人数しか受験できないので、高校内での選抜があります。
一方、「公募制」は大学が指定する条件を満たし、学校長の推薦が受けられれば誰でも出願できます。ただし人気大学や学部では倍率が上がり、合格のハードルが高くなりがちです。並行して一般選抜のための受験勉強もしておくことがオススメです。
選考方法は、どちらも書類審査、小論文、面接などが実施されます。大学によっては独自の学科試験を課すケースもあり、基礎学力が重視される傾向も見られます。出願、試験が11月以降、合格発表は12月以降、そして共通テストを利用する大学の場合は、合格発表が2月です。そのほか指定校制の場合は、高校内で選考を経て出願するので9月くらいに校内選考が行われることが多いようです。高校の先生に確認しておくといいでしょう。
また、2025年度から東洋大学が「学校推薦入試 基礎学力テスト型」という新しい入試を導入しました。12月に試験が行われる年内入試で、学校推薦型ではありますが一般入試との併願もできます。「英語・国語」または「英語・数学」の2教科試験で、英検®2級以上の資格所持者は点数換算というメリットもあります。併願可能な年内入試は関西圏の大学でも導入されています。最新の情報をチェックして受験スケジュールを立てるようにしてください。