多くの高校では、高校2年生から文系コースと理系コースに分かれます。そのため、たいていは高校1年生の秋に、「文理選択」の意思表示が必要になるでしょう。入試科目とも関わってくるので、文理選択は余裕をもって検討する必要があります。
文理選択をする前に、志望学部学科を考えよう
高校での「文理選択」は大学入試に向けての大事な岐路です。とはいえ、高校1年で志望する学部学科が決まっている人は意外に少ないものです。たいていの場合、「理系が苦手だから文系」「理系の方がましだから理系」という選択をしてしまうのは、ある程度しかたがないでしょう。
ただ、そういう選び方をすると、志望学部学科が決まってから困ることも。高3になってから、文系から理系へ、理系から文系に転向したというケースもありますが、ごくまれです。できれば、文理選択をする前に、志望学部学科を明確にしておいた方がよいでしょう。
また、大学入試で学部学科によって選択科目が異なるだけでなく、さらに入学後、その学部で学ぶべき科目があります。たとえば、「化学で受験して薬学部に進学したけれど、生物の知識も必要だった」「心理学部で統計など数学の知識が必要だった」など、苦労したという話を聞くこともあります。
未修の科目に関して、大学でサポート体制があるものの、やはり高校時代に学んでいた方が有利であることは確かです。「文系だから数学は学ばなくていい」ではなく、志望学部でどんな知識が必要なのかもよく調べ、文理選択後の選択科目選びに役立てましょう。
融合型の学問が増える中、文理をバランスよく学ぶ必要も
一方で、現在は文理融合系の学部も増えています。情報社会学部や小学校教諭養成課程など全教科を学ぶ教育学系、スポーツ科学系。文系と思われがちですが、科学的アプローチが必要な生活科学・家政学系も然り。また、留学が必須で英語のみで授業を行う国際系でも、特に上位校は、国際標準のリベラルアーツ(教養教育)の観点で文理問わず様々な履修科目が用意されています。心理学系も、数学の知識が必要です。
職業についても、知的財産を守る弁理士という職業は法律分野のため文系に見えますが、薬や技術の特許に関わる仕事なので、法律と理工学両方の知識が求められます。逆に理系と思われがちなシステムエンジニアは文理どちらでもなれますが、クライアントの事業内容によっては文系出身者の知識が役立ちます。
そのため、一部の進学校では文理選択をさせず、文理どちらもバランスよく学べるようなカリキュラムを導入しています。このような流れがあることも認識した上で、自分に必要な選択をしてください。