これまで、共通テストを含む一般選抜の傾向について紹介してきました。最終回となる第3回はその対策について、代々木ゼミナールで教育情報センター教育情報室 室長を務める木戸葵氏に話を伺いました。
共通テストはこれまで通り、教科書をしっかり学ぶこと
2025年度入試は、新課程に対応した初めての入試となります。そのため、共通テストにもいくつかの変更があります。「国語の大問が1つ増え、試験時間が80分から90分になる」「数学②(数学II、B、C)の選択問題が増え、試験時間が60分から70分になる」「情報Iが新しく課される」などは特に気になるところです。「難しくなるのでは?」「新しい対策が必要?」と心配になるかもしれませんが、実際どうなのでしょうか?
「例年と比べて極端に難易度が変化するわけではないと考えています。基本的にこれまでの共通テスト対策のように、教科書をしっかり学んだ上で、実戦問題を解くことで対応できるのではないでしょうか。大学入試センターからサンプル問題(2021年3月)と試作問題(2022年11月)が公表されているので、それらを過去問に代えて対策に取り組んでもらえればと思います」(木戸氏)
また、共通テスト自体はすでに4年分の過去問があるので、それも併せて利用できます。
思考力・判断力・表現力がより問われる新課程入試
国語で追加される大問では、様々な資料を扱うことによって、多様な資質・能力を評価するという目的があります。
「従来より出題されている評論や小説とは異なり、おそらく実用的な文章が出題されるのではないかと言われています。新設される大問については過去問がないため、問題集や模試で経験を積んでおく必要があるでしょう」(木戸氏)
思考力・判断力・表現力を問うという大学側の姿勢は、国公立大学の2次試験や私立大学の記述問題にも反映されています。
「国公立大学の2次試験などでは、記述式で難しい問題を課す大学もあるでしょう。ただ知識を丸暗記しただけの勉強ではなく、思考力・判断力・表現力を問いたいという大学側のメッセージでもあるので、数学の公式なども暗記中心の対策だけに留まらず、日頃から『なぜこの問題はこういう答えになるのか?』と考えるクセをつけるようにして、その過程を書いたり話したりして対策をするとよいですよ」(木戸氏)
日々の学習を大切にするだけでなく、試験当日の時間配分に慣れておくことも大事でしょう。高3生はラストスパートをしっかり、高1・2生は今から受験を視野に入れた準備を進めてください。