新課程が始まって初の入試となる2025年度入試。どんな受験傾向になるのか、志望校や志望学部・学科が決まっている人もそうでない人も気になるところでしょう。2024年度入試の結果を踏まえて、2025年度入試がどんな傾向になるのか、代々木ゼミナールで教育情報センター教育情報室 室長を務める木戸葵氏に話を伺いました。
2024年度一般選抜で人気の学部・学科はどこ?
大学で何を学びたいのかが明確な高校生はともかく、将来の目標がまだ定まっていない高校生にとって、学部・学科選びはなかなか悩ましいものでしょう。学部・学科は、あくまで自分の関心をもとに選ぶことが大切ですが、その年の人気学部・学科など全体的な傾向から、受験生の動向を知ることもできます。2024年度入試で、先輩たちがどのような学部・学科選びをしたのか探ってみましょう。
「国公立大、私立大ともに志願者数が多かったのが、データサイエンス・情報系や文理融合した学部・学科です。文系・理系に分かれず、総合的に取り組む学問の人気が高かったですね。データサイエンス・情報系は、国の政策の影響で募集人員が増えたことで、受験生の志願先として候補に上がりやすかったことも考えられます」(木戸氏)
また、コロナ禍で留学ができないために低調だった国際系には、人気回復の兆しが見えてきました。
「2023年5月にコロナが5類感染症に移行してからの入試だったため、志願者数が少し上向きになりました。ただ、留学費用には円安などによる影響が引き続きあるでしょう。また、コロナも落ち着いたとはいえ、コロナ前までの志願者数には戻り切れていないというのが現状です」(木戸氏)
逆にコロナ禍で人気が高まったものの、現在は志願者数が減少してきているのが、医療系の中でも看護・保健系だそうです。
「看護・保健系は、年内入試で合格を手にする人が増えているため、一般選抜の受験者が減っていると思われます」(木戸氏)
自分のやりたいことを見つけるのが一番。でも見つからない人は?
こうした2024年度入試の結果を経て、2025年度入試はどうなるのでしょうか?
「先ほどのデータサイエンス・情報系に関しては、新しい学部・学科ができたりすることで志願者は分散していきますが、女子枠が設けられるなど、なにかと話題に上がることが多い理工系自体の志願者は増えるのではないかと考えられます。一方、コロナ禍では注目された医療系ですが、今後、一般選抜の志願者が激増することは考えにくいでしょう」(木戸氏)
最近は、理工系に比べて人気がないと言われ続けてきた文系がどうなるのかも気になります。
「不景気だと理工系の人気が高まり、景気がよくなると文系の人気が高まる傾向がありますが、2024年度入試では、それまで落ち込んでいた文系の志願者数が少し回復してきました。2025年度入試でも、このままの水準でいくのではと予想しています。特に経済学部や商学部はデータを扱うため、データサイエンスに興味があるけれど、理工系は少し厳しいという層が集まると思われます」(木戸氏)
ただ、傾向はあくまで全体的なものです。「穴場だなどと考えずに、自分のやりたいことを見つけるのが一番です。自分が興味をもてること、学校で学んだ内容をとっかかりにして、本当に行きたいと思える大学を見つけてください。受験勉強や入学後のモチベーションアップにもつながります」とした上で、木戸氏はやりたいことが見つからない人にもアドバイスをくれました。
「北海道大学の総合入試など、入学してから1年間、いろいろな授業の説明を受けてから学部・学科を選べる大学もあります。他にも筑波大学や金沢大学などにも同様の制度があります。周囲の人達から早く学部・学科を決めなさいと言われる事が多いと思いますが、入学後に選べる大学もあります。まずは大学についての情報を幅広く調べることが大切です」(木戸氏)
私立大学でも、国際基督教大学では3年次で、聖心女子大学では2年次で専修や学科・専攻を選びます。ぜひこのような大学の情報収集をしてみてください。