東京版「英語村」の事業者決定、生きた英語を試す場所へ

竹内みちまろ

東京都は9月30日、「英語村(仮称)」の事業提案の中から最優秀事業応募者を決定したことを発表しました。これにより、2018年9月に開業予定の「英語村」の概要が見えてきました。

東京版「英語村」の事業者決定、生きた英語を試す場所へ

 

 

2018年9月、江東区青海2-4-32 タイム24ビル(ゆりかもめ「テレコムセンター」駅から徒歩2分)に開設予定の東京都版「英語村(仮称)」(以下:英語村)。

 

過去記事:2018年、東京に「英語村」がオープン

 

英語村とは、「外国とほぼ同様の環境を作り、その中で英語学習を行う施設」のこと。英語村では、英語だけを使いながら様々な活動を行うことにより、コミュニケーションの手段としての英語力を向上させることができます。

 

 

 

英語村の事業者が決定

 

東京都教育委員会は事業者の募集を行い、2016年8月1日〜同月12日までの受付期間に、3件(グループ)の提案書を受け付けました。 

 

その後、提案書等の書面による1次審査と、提案書等及びプレゼンテーションに基づく2次審査が行われ、下記5社からなるグループが最優秀事業応募者に決まり、東京都と協議を進めな英語村の開設に向け着手することになります。

 

  • 株式会社学研ホールディングス
  • 株式会社市進ホールディングス
  • 株式会社エデューレエルシーエー
  • 一般財団法人英語教育協議会
  • 株式会社博報堂

 

採用された最優秀事業応募者の提案内容から、英語村が具体的にどのような施設になるのかを見て行きましょう。

 

 

 

英語村は、どんな場所になる?

 

まずは、採用された最優秀事業応募者の提案概要を抜粋してご紹介します。

 

1. コンセプト

  • 将来の日本を背負っていく子供たちが、世界で臆することなく、生き生きと誇りと自信を持って、世界の人々と語り合っていけるよう効果的な英語学習機会を提供
  • 東京発の英語教育改革に資する拠点

 

 

2. プログラム内容

  • 内容言語統合型学習(CLIL ※1)とアクティブ・ラーニングを軸に、校種やレベルに応じ、オールイングリッシュの少人数プログラムを提供
  • 学校と連携し、各校のニーズに合わせカスタマイズ
  • 各国の大使館やインターナショナルスクール等と連携した国際交流イベントを開催
  • 教員向け英語研修プログラム等も予定
  • 1グループ(6名〜8名)ごとに1人のイングリッシュスピーカー(テーマ担当講師)

 

施設の三つのゾーン:イメージ

  • アトラクション・エリア(海外生活体験で楽しく学ぶ)
  • アクティブイマージョン教育エリア(多様な教材を使った英語活動で英語を学ぶ)
  • エクスプロア・エリア(未知の環境での体験学習で国際交流、協働作業等を行う)

 

 

3. 主な利用対象者

小学生から高校生まで(学校団体での利用)

 

 

4. 施設の最大収容人数

1日当たり約1,300人(650人×2回転の場合)

 

 

5.  利用料金(都内学校団体の例)

基本コース: 受講するプログラム等に応じ、2,400円 (半日) ~ 5,000円 (一日)

宿泊コース: 15,000 円 (1泊2日) ~ 40,000円 (2泊3日) ※2

 

 

6.  事業期間

平成30年9月から平成40年度末まで(10年7か月)

 

 

※1 CLIL(Content and Language Integrated Learning)とは、言語教育と他教科などの内容教育とを統合し、内容、文化・コミュニティ、思考、コミュニケーションに配慮しながら、英語を学習手段として使うことによって実践力を伸ばす教育法

※2 宿泊施設は外部で既存の施設を利用予定

 

 

「英語村(仮称)」最優秀事業応募者の決定 より

 

 

 

 

 

「生きた英語を試す場所」 へ期待

 

採用された提案の内容と同時に、英語村の事業審査委員会(委員長:吉田研作・上智大学言語教育センター長)による審査講評も発表されています。

 

審査講評には、事業審査委員会が評価したポイントと改善が求められる点が盛り込まれています。

 

 

評価したポイント

  • 今後の英語教育において重要性が高いと考えられる内容言語統合型学習(CLIL)とアクティブ・ラーニングという考え方を軸にして全体を通しての統一感が見られること

  • 上記コンセプトに基づき、基本コース、宿泊コース、国際交流イベント等にて多様なプログラムを用意し、利用対象者についても幅広く検討していること

  • 学校側に事前に個別ヒアリングを行い、セミオーダー形式でサービスを提供するなど丁寧な対応を予定していること

  • 英語村を東京都の英語教育改革に寄与する民間教育センターとするという理念

 

 

改善が求められる点

  • 英語村を、学校とは違う体験ができ、より実社会と密接に結び付いた生きた英語を試す場所とするために、さらに改善の余地がある

  • 英語学習への関心が希薄な子供たちに対する意欲向上策に工夫が必要

 

「英語村(仮称)」最優秀事業応募者の決定 より

 

 

 

英語村は、子供たちが少人数のグループに分かれ、アトラクション・英語活動・協働作業等を通して、コミュニケーションの手段としての英語を使ったり、学んだりする場所になり、さらに、実社会により近い環境の中で、実社会の中で必要とされる英語力を試すことができる場所となることも予想されます。

 

また委員会は、採用した提案は「今後の東京都の英語教育の象徴的かつ最先端のサービスを提供する英語村を整備し、子供たちの英語学習意欲の向上に貢献するポテンシャルを十分に有しているものと確信します」とし、英語村に対する強い期待を表しています。

 

 

本格的に始動することになった英語村がどのような場所になるのか、完成とサービス開始が待たれます。

 

 

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