第9回:英検二次試験(面接)に備えよう
2019/02/04
この記事を読んでいる皆さんの中には、英検合格を目指してがんばっている人がたくさんいることでしょう。中には面接の対策にも苦労している人もいるのではないでしょうか。今回は、英検二次試験に役立つ学習法を紹介します。
面接の流れと問題、攻略のコツ
英検では、3級以上の級で二次試験が行われます。二次試験は、面接官との面接形式で行われます。面接に必要なのは聞く力と話す力だけだと思うかもしれませんが、英検の面接では次の力がすべて必要になります。
★ 聞く力(面接官の指示や質問を聞き取る力)
★ 話す力(面接官の質問に適切かつ正確に答える力)
★ 読む力(パッセージを黙読して理解する力)
★ 音読力(パッセージを正しい発音、強勢、リズム、区切りなどで音速する力)
★ コミュニケーション力(面接官とあいさつを交わしたり、積極的にやり取りしたりする力)
まずは二次試験がどのように行われるのかを理解しておきましょう。ここでは例として3級の試験内容を説明します。
3級の二次試験の問題カードには、英語のパッセージ(文章)とイラストが印刷されています。
【1】 パッセージ(文章)
パッセージは35語前後の長さです。英語のタイトルがついています。
<タイトルの例>
「Listening to the Radio」、「School Trips」、「Studying English」など
(「ラジオを聞く」、「修学旅行」、「英語を学習する」)
【2】 イラスト
イラストには何かの動作を行っている人物が描かれています。人物に付いている吹き出しは、これから行うことを表しています。例えば、吹き出しに男性が新聞を読む様子が描かれていれば、He is going to read a newspaper.(彼は新聞を読もうとしています)となります。
【3】 面接の流れ
3級の二次試験は次のような手順で行われます。詳細や他の級については英検のウェブサイトを参照してください。
① あいさつや氏名受験級などの確認
② 問題カードのパッセージの黙読(20秒間)
③ パッセージの音読
④ パッセージについての質問に答える(問題カードを見ながら)
⑤ イラストについての質問に答える(問題カードを見ながら)
⑥ あなた自身のことについての質問に答える(問題カードを伏せて、カードの内容とは関係ない質問をされる)
⑦ 終了のあいさつなど
今回は、特に②から④の、黙読、音読、パッセージに関する質疑応答に直接役立つ学習方法を紹介します。
その1 心の中で音読する
二次試験では35語程度のパッセージを20秒間で黙読しなければなりません。これは1分当たり100語程度というかなり速いスピードで読めなくてはいけないということです。20秒という時間でパッセージを完全に理解できるならば、十分に合格できる英語力があると言ってもよいくらいです。
受検者の多くは、パッセージに分からない単語があったり、限られた時間内で十分に内容を理解することができなかったりします。しかし、分からない単語があるからと言って不合格になるわけではありません。
まず、パッセージの最初から最後まで止まらずに、心の中で声を出さずに音読しながら意味を理解する練習をしましょう。
じっくり読み進めたり、分からないところの意味を考えながら読み進めたりするのではなく、心の中で文字を音声化(声を出さないで音読)し、最初から最後まで止まらずに読み通すようにします。
この時点では、内容は、どこにどんなことが書いてあるかなど、おおまかにつかむだけで十分です。これが、20秒間を最も有効に使う方法です。
具体的な学習法としてお勧めしたいのは、英検4級の1次試験の問題4Cの長文のうち、1つの段落を心の中で音声化しながら読み進める練習です。このとき、発音に注意し過ぎると意味を把握できなくなるので、発音に注意するのと意味を把握するのとのバランスが大切です。
その2 英検のリスニング問題で音読練習をする
次に音読テストに向けての練習を紹介します。
発音は1日か2日の練習では上達しません。もし、あなたが発音に自信がないのなら、モデルとなる音声を真似て、少しでも英語らしい発音になるように練習しましょう。
練習の材料としてお勧めなのは英検のリスニング問題です。
英検のウェブサイトから過去問のリスニング問題の音声を聞くことができます。リスニング原稿をダウンロードすることもできるので、4級や3級の第3部(No. 21~No. 30)の音声を真似て練習してみましょう。
本番では自信を持って音読することが大切です。分からない単語があってもそこで止まらず、つづりから発音を推測して読み進めてください。
その3 自分で質問文をつくってみよう
質問を聞き取り、それに対して答えるには、「質問を聞き取る力」、「パッセージから答えとなるところを探す力」、「応答文として適切に英文を組み立てる力」が必要となります。
しかし、これも短時間で力を付けるのは難しいので、質問文に慣れる練習をしておきましょう。英検の試験問題をつくっている人になったつもりで、あなたが実際に質問文をつくってみるという方法です。
次の文からいくつかの質問文とそれに対する応答文をつくってみましょう。
Magazines are easy to carry, so some people like to read them on the train or bus.
(雑誌は持ち運びやすいので、電車やバスで雑誌を読むのが好きな人もいます)
パッセージの内容を尋ねるには、次の6つの単語(疑問詞)を使った質問文が多くなるはずです。特にwhat、why、whereは3級の二次面接試験で実際によく使われています。
what 「なに」
where 「どこ」
when 「いつ」
why 「なぜ」
who 「だれ」
how 「どのように」
質問文と応答分を自分で考えてみてください。
Q: What do some people like to do on the train or bus?
A: They like to read magazines.
「一部の人たちは電車やバスで何をするのが好きですか?」
「雑誌を読むのが好きです。」
Q: Where do some people like to read magazines?
A: They like to read them on the train or bus.
「一部の人たちはどこで雑誌を読むのが好きですか?」
「彼らは電車やバスでそれらを読むのが好きです。」
Q: Why do some people like to read magazines on the train or bus?
A: Because magazines are easy to carry.
「なぜ一部の人たちは電車やバスで雑誌を読むのが好きなのですか?」
「雑誌は持ち運びがしやすいからです。」
Q: What is easy to carry?
A: Magazines are.
「何が持ち運びしやすいですか?」
「雑誌です。」
このような質問と答えを考えることができたでしょうか。
ここまでは英検3級の二次試験をもとに説明しましたが、英検準2級や2級でも同じです。まずどのような手順で面接が行われるのか情報を得た上で対策を考えましょう。
英検のウェブサイトには、面接室に入室してから退出するまでの流れが確認できる「英検バーチャル二次試験」があるので、見ておくことをお勧めします。
スタディギア for EIKEN
「スタディギア for EIKEN」は、面接形式で行われる英検二次試験にも対応(2級/準2級/3級)。自分だけでは対策の難しい面接対策を、本番と同じ流れで、スピーキング力と並んでリスニング力も磨くことができます。
★『英語力を伸ばす学習法』リストページ
https://www.ei-navi.jp/news/nobasu/list/
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