総合型選抜のことをもっと知ろう!【実践編】こぼれ話

総合型選抜の対策について、3回にわたってお届けしてきた【実践編】では、実際に総合型選抜で合格した先輩たちの高校時代の取り組みについて紹介しました。今回は、その中で伝えきれなかったことや、あらためて注目したいことにフォーカスします。

 

 

これまで登場した3人の先輩たちのプロフィール

 

取材協力:影山舞(かげやま・まい)さん

宮城・県立高校出身

取材協力:板谷佳琳(いたたに・かりん)さん

東京・私立高校出身

取材協力:中村汎森(なかむら・ぼん)さん

東京・私立高校出身

 

まずは、おさらいです。これまで登場してくれた先輩たちが、高校時代にどんな探究活動をして、総合型選抜入試でアピールしたのかを紹介しましょう。

①影山舞さん(早稲田大学創造理工学部建築学科1年/宮城・県立高校出身)
ものづくりが好きで、被災経験から建築と防災の関係性に注目し、探究活動を行う。同時に、美術部部長としてリーダーシップをとりながら、個人的な創作活動にも邁進(まいしん)。

②板谷佳琳さん(慶應義塾大学環境情報学部1年/東京都・私立高校出身)
データを使った学問が好きで、関心のあった都市開発と重ねて探究活動。自身の香港在住時の体験を軸にして、オリジナリティを出す。そこに至るまでは、各種コンテストなど積極的に参加。

③中村汎森さん(立教大学コミュニティ福祉学部コミュニティ政策学科1年/東京都・私立高校出身)
高1生時の東京パラリンピックをきっかけにパラスポーツに関心をもち、関連するボランティア活動に参加。広くパラスポーツへの理解を深めるために、誰でも競技できる「ゆるスポーツ」に着目し、自分で新しい「ゆるスポーツ」を考案する。体育祭への導入を生徒会役員として働きかけて実現。

 

 

先輩たちはどうやって総合型選抜に向き合った?

 

3人に共通するのは、総合型選抜に強い塾を早期から活用したことです。ただ、塾に通った理由は一人ひとり異なります。

影山さんは、自分が受けたいと思った「早稲田建築AO入試」に対応した実績が高校になかったからでした。

板谷さんは、ペーパーテストは嫌だなと思っていた時に、保護者が総合型選抜での受験を勧めてくれたことをきっかけに入塾しました。

中村さんに至っては、最初は受験のことを考えてはおらず、塾のカリキュラムで高校生同士が自分の体験をディスカションできる環境を求めて入塾したそうです。

総合型選抜と学校推薦型選抜を合わせると、年内入試(12月までに終わる入試)は今や受験生の5割以上が利用しますが、高校によってはまだ力を入れていないケースも見られます。受験は情報戦でもあるので、必要に応じて塾を頼るのも大事なようです。

 

 

合格はしたけれど・・・反省点を踏まえて先輩たちがアドバイス

 

総合型選抜を受験するにあたり、申し分のない活動をしてきた3人でしたが、それぞれ弱点もありました。

影山さんは、文章を書くことが苦手だったことと、人に説明するときにまわりくどく話すクセがあったことです。塾の演習で何度も文章を書いたり、320字という限られた文字数で簡潔に説明する練習をしたりして、説明に必要な「型」が身についたそうです。出願書類では、提出する絵にも文章をつけてわかりやすくすることを心がけました。

板谷さんは、論文や書籍の購読量が不足していたこと。入門書は読んでいたけれど、自分の論文を裏付けるために引用する専門的な論文や書籍を読み始めるのが遅かったことが反省点だそうです。「もっと早くから始めていれば、知識量も違っていたはず」と話します。

中村さんは志望理由書を書く時に、活動の過程での自分の気持ちや考えを記録していなかったため、当時を振り返りながら正確に書く作業に時間が取られました。「過去の写真を見て、その時の気持ちを思い出しながら書きました」とのことですが、記録をとっておくと出願時の作業が楽になるかもしれません。

また、中村さんは「僕の場合、英語力が問われない試験でしたが、大学合格後に共通して求められるのは英語力。受験で必要なくても、しっかり勉強しておいた方がいいですよ」というアドバイスも。

総合型選抜で自分の中の何をアピールするかは十人十色です。ただ、自分の関心のあることを深く追究することができれば、自ずと志望が定まり、入試への活用も可能です。そのためには、少しでも早く、動き出した方がよいでしょう。

 

 

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