いよいよ今週末から実用英語技能検定(以下: 英検)の2016年度 第1回検定 一次試験が始まります。準備は万全でしょうか。
英検は2016年度 第1回検定よりリニューアルされ、各級の合否判定方法や問題形式が変更となります。
変更となる理由は、コミュニケーションの手段としての英語力を評価する際にカギとなる英語4技能(「読む」、「聞く」、「書く」、「話す」)を用いた合否判定を本格化するためです。
では実際、何がどのように変わるのでしょうか。英検を受験するみなさんは既にご存知かもしれませんが、おさらいの意味も兼ねて、変更点をご紹介したいと思います。
2016年度からの主な変更点は?
主な変更点は、大きく4点。
実用英語技能検定 リニューアルのご案内ページより抜粋して紹介します。
① 問題形式の変更
対象: 1級、準1級、2級、準2級、4級、5級
3級以外の全級で、問題形式を変更いたします。 「図① 問題形式の変更」をご確認ください
② 試験時間の変更
対象: 2級
2級の筆記試験の解答時間を、現状の75分から10分延長し、85分といたします。2級以外の級につきましては、試験時間の変更はございません。
③ ライティングテストに観点別採点を導入
対象: 1級、準1級、2級
ライティングテストに、より詳細なフィードバックが可能となる観点別採点を導入します。観点は各級共通で以下のとおり。
- 内容: 課題で求められている内容が含まれているか
- 構成: 英文の構成や流れが分かりやすく論理的であるか
- 語彙: 課題に相応しい語彙を正しく使えているか
- 文法: 文構造のバリエーションやそれらを正しく使えているか
④ 合否判定
対象: 全級
全級において、一次試験、二次試験ともに、「CSE2.0」に基づくスコアを技能別に算出し、それに基づいて合否を判定いたします。
各級の変更点詳細
それでは、リニューアルによる変更点を、各級ごとに細かく見て行きましょう。
■ 1級の変更点
1級 | |
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ライティング | 問題形式の変更 CEFRのC1レベルとの整合性をより高いものにするために、社会性の高い話題について、自分で考えをまとめ、理由とともに意見をまとめるエッセイ形式といたします。 |
観点別評価の採用 「観点別採点」が採用されます。 |
■ 準1級の変更点
準1級 | |
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ライティング | 問題形式の変更 CEFRのB2レベルとの整合性をより高いものにするために、これまでのEメール形式からエッセイ形式といたします。さらに、これまでよりも多い語数が求められます。(120語~150語程度) |
観点別評価の採用 「観点別採点」が採用されます。 |
これまでよりも長文で、自分の考えを盛り込んだ論理的な文章を書く必要があります。
■ 2級の変更点
2級 | |
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ライティング | ライティングテストの導入 ライティングテストの導入に伴い、語句整序問題を削除します。 |
リーディング | 一部問題形式の変更 リーディングの長文の空所補充問題において、これまでは空所の一語を選択肢から選ぶ形式でしたが、1級・準1級のように、空所にあてはまるものを複数の語句からなる選択肢から選ぶ形式といたします。これにより、文脈を読み取る能力をより精度高く評価するものとなります。 |
リーディング問題数の変更 問題数を現状の8問から6問に削減し、この形式の問題数を1級・準1級と同じ題数といたします。 |
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試験時間 | 試験時間が「75分」から「85分」に延長されます。 |
- ライティングが導入されるため試験対策が必要になります。
- 「複数の語句」から選択しなければならないため、従来よりも文脈を読み取る能力が必要になります。
- ライティングが導入されるものの、従来よりも問題数が減り、更に試験時間が増えるため、ひとつの問題にかけられる時間が増える可能性があります。
■ 準2級の変更点
準2級 | |
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リーディング | 一部問題形式の変更 2級と同様、長文の空所補充問題において、これまでは空所の一語を選択肢から選ぶ形式でしたが、空所にあてはまるものを複数の語句からなる選択肢から選ぶ形式といたします。 |
リーディング問題数の変更 会話の空所補充の問題数を現状の8問から5問に削減し、全体の問題数のバランスや試験時間との調整を行いました。これにより、この形式の問題数は3級~5級と同じになります。 |
- 「複数の語句」から選択しなければならないため、従来よりも文脈を読み取る能力が必要になります。
- 試験時間は変わらずに、問題数が減るため、ひとつの問題にかけられる時間が増える可能性があります。
■ 3級の変更点
変更はありません。
■ 4級・5級の変更点
4級・5級 | |
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スピーキング | スピーキングテストの導入
スピーキングテストが導入されます。 一次試験(筆記・リスニング)の合否に関係なく、申込者全員に受験機会をご提供いたします。 コンピュータ端末を活用した録音形式で実施いたします。また、自宅や学校のパソコン、およびタブレット等から、インターネット上のスピーキングテストサイトにアクセスして受験いただきます。 なお、受験日の指定はなく、期間は1年間を有効といたします(注:受験回数は1回のお申し込みにつき1回のみとする)。したがって、時間的・地理的制約は無く、いつでも・どこからでも受験いただけます。 級認定に関しては、従来どおり、一次試験(筆記・リスニング)の結果のみで合否を判定いたします。なお、スピーキングテストの結果は、現状の級認定とは別に、「4級(5級)スピーキングテスト合格」として判定いたします。 |
苦手分野の克服がカギに
問題形式の変更に加えて、今回から、合否判定方法もリニューアルされます。
前回までは、技能ごとに分かれた問題(「ライティング」、「リーディング」、「リスニング」)の配点が異なっていました。しかし、今回からは、技能ごとにスコアと呼ばれる点数が均等に配分され、スコアの合計点数で合否が判定されるようになります。
例えば、前回までの準1級の試験では、配点の低かった「ライティング」(約14%)が「0点」でも、配点の高かった「リーディング」(約51%)と「リスニング」(約34%)で「満点」を取れば、合計で約85%に正解することができ、合格目安の7割を突破して、一次試験に合格することができました。
しかし、2016年度からは、準1級なら、「ライティング」、「リーディング」、「リスニング」の各技能に均等に「750」のスコアが配分されます。準1級の合格基準スコアは「1792」となっており、「リーディング」と「リスニング」で「満点」を取ってもスコアは「1500」にしかならず、「ライティング」の点数が低いと、合格することができなくなります。
つまり、英検に合格するためには、苦手分野を作らずに、技能ごとにバランス良く学習を進めることが必要になります。
本番になって「あれ?過去問と違う!」とならないためにも、もう一度、変更点をおさらいして、安心して試験に挑みたいですよね。準備を万全に整えて、日頃の学習成果を存分に発揮してください!