2018年度(平成30年度)の大学入試における英検の外部検定利用動向を報告する「平成30年度入試 英語外部検定利用状況」の「推薦・AO編」が、旺文社 教育情報センターより発表されました。
2020年度から現在のセンター試験に代わり導入される「大学入学共通テスト」では、「読む」「聞く」「書く」「話す」の4技能をもれなく評価するため、英語では、英検・TOEIC・TOEFL iBTなどの外部検定を活用することが決定されました。
大学入試において外部検定がますます脚光を浴びる中、旺文社 教育情報センターは、「推薦・AO編」として、2018年度(平成30年度)の推薦・AO入試での外部検定の利用動向を、前年の調査結果と比較しながら分析しています。
レポートをもとに、大学の推薦・AO入試における外部検定の最新の利用動向と今後の展望をご紹介します。
利用拡大、44%の大学が推薦・AO入試で外部検定を採用
2018年度(平成30年度)は、762大学のうち335大学(44%)が推薦・AO入試で外部検定を採用しました(文科省所轄外の大学校を含み、通信制のみの大学を除く)。
教育情報センターでは、文科省が「平成33年度大学入学者選抜実施要項の見直しに係わる予告」にて、「学力不問」の入試方式を改善し、「知識・技能」「思考力・判断力・表現力」を適切に測ることを推薦・AO入試の新たなルールとし、その評価方法のひとつとして高校時代に取得した資格・検定を掲げたことで、大学の推薦・AO入試における外部検定の利用がますます広がっていくだろうと予想しています。
圧倒的な採用率を誇る「英検」が2018年度もトップ
外部検定別にみると、採用率の1位は英検で、推薦・AO入試で外部検定を利用する大学のうち97%が英検を活用していることが分かりました。
英検が断トツの1位である理由について、教育情報センターは、英検の出題内容と、文科省が大学入試の英語力測定に求める「学習指導要領に沿った出題内容」が合致しているためと分析。さらに、英検が3級以上のすべての級で英語4技能化を整えたことも大学入試での利用にふさわしいとしています。
外部検定別の採用率の2位はTOEICの83.6%、3位はTOEFL iBTの78%でした。スタートしてから4年目のTEAPは2年連続で採用率を最も伸ばしています。TEAP自体が、大学受験を目指す高校3年生の英語力を測定するために最適なレベルの試験になっているため、大学入試との相性がよく、今度も存在感を増していくことが予想されます。
また、英検が導入した「英検CSE」というスコア制度を、2018年度(平成30年度)では11の大学が推薦・AO入試に採用しました。4技能の英語レベルを細かく把握できる「英検CSE」も今後、大学入試で幅広く利用されていくことが見込まれています。
公募推薦は「評価加点」重視、AO入試では学力担保
公募推薦入試とAO入試の外部検定利用方法は、下記のような割合となっています。
公募推薦入試
- 出願資格: 46.8%
- 評価加点: 25.6%
- 判定優遇・合否参考: 18.5%
- 試験免除: 9.2%
AO入試
- 出願資格: 62.7%
- 判定優遇・合否参考: 17.8%
- 評価加点: 14.5%
- 試験免除: 4.9%
出願に際して評定平均値を課す公募推薦入試では、より高い英語力を持つ生徒を「評価加点」するために外部検定を利用し、評定平均値を課さないAO入試では外部検定を「出願資格」とすることで受験生の最低限の学力を担保する傾向が分かりました。
推薦・AOで求められる英語レベルは、英検2級~準2級が全体の8割超
外部検定を推薦・AO入試に使用する大学がどの程度の英語力を求めているのかを、英検級に換算して見てみることにしましょう。
まず、国公私立大の全体では下記となりました。
推薦・AOで求められる英語レベル (国公私立大)
- 英検 準2級: 44.7%
- 英検 2級: 36.5%
合計すると「81.2%」になり、実に8割超の入試で2級から準2級レベルの英語力が求められています。文科省が掲げる高校卒業時の目標英語力も2級から準2級レベルとなっており、多くの大学がこのレベルの生徒を優遇の対象としています。
国公立大に絞ると、下記となります。
推薦・AOで求められる英語レベル (国公立大)
- 英検準1級:22.2%
- 英検 2級: 43.2%
- 英検 準2級: 28.1%
私立大を含めた全体よりも高い英語力を求める傾向にありますが、昨年度と比較すると、準1級が約3割から「22.2%」へと減り、逆に、約3割だった2級が「43.7%」へと大幅に採用率を伸ばしています。
国公立大でも、準1級というずば抜けた英語力を持つ生徒を優遇する傾向から、2級から準2級レベルという高校卒業時の目標英語力を持つ生徒への優遇を高める傾向にあるようです。
教育情報センターは、「この点からも外部検定利用入試が多くの受験生にとって身近な入試になってきたといえるだろう」としています。
文系・理系を問わず全ての系統で外部検定利用が増加
外部検定を利用する学科を18の学問系統に分類して集計したところ、「文系系統」「理系系統」「その他の系統」を問わず、全てにおいて、外部検定を利用する学科数が増加していました。
学科数別に見ると、1位が「経済・経営・商学」(文系)の「364」。2位は「工学」(理系)の「309」。3位は「文学」の「212」。4位は「国際関係学」の「208」。5位は「外国語」の「200」。
全体的には文系での利用が多くなっているものの、理系に分類される「工学」では「309」もの学科が外部検定を利用しています。また、「その他の系統」に分類される「看護・医療・栄養学」と「体育・健康科学」では外部検定を利用する学科数が高い増加率を示していました。
いかがでしょうか? 2020年度から始まる「大学入学共通テスト」のみならず、推薦・AO入試においても、英検をはじめとする外部検定がますます活用されていくことでしょう。中学生や高校生のうちから計画的に検定に挑戦し、大学入試を有利に進めてみませんか。
また、日本英語検定協会のウェブサイトにある『受験・進学に「効く」英検!入試優遇・単位認定制度』ページでは、優遇内容や取得級ごとに、制度を採用している大学を検索することができますので、受験校選びの参考にしてみてはいかがでしょう。
日本英語検定協会|受験・進学に「効く」英検!入試優遇・単位認定制度