東京都教育委員会が12月14日、都立高校の英語入試で、独自のスピーキングテストを導入する方針を発表しました。早ければ現在の中学2年生が受験する2019年度入試においてプレテストを導入し、本格実施に繋げていく予定です。
現在、都立高校の入試では、小学校・中学校で学習した英語4技能のうち、「聞くこと」「読むこと」「書くこと」に関する問題だけが出され、「話すこと」については評価されていません。
今回発表されたスピーキングテストでは、英語4技能をバランスよく測定できると評価が高い「英検」などの民間の資格・検定試験と連携し、独自のテストを作成するとしています。
概要と導入スケジュール
導入するスピーキングテストは活用する試験を一本化し、公平性や経済負担という点から、受験機会は受験者1人につき1回だけが望ましいとされ、インフルエンザなど学校感染症にかかった場合などを考慮して試験の予備日を設定すべきと提言されています。
導入へ向けた想定スケジュールも発表されました。それによると、早ければ現在の中学2年生が高校受験をする2019年度入試(2019年4月に高校入学)以降、プレテスト・一部実施・拡大実施という段階を経て導入される予定。
スピーキングテスト導入の背景
都教育委員会は、2020年に開催される東京オリンピック・パラリンピック大会を契機に外国人との交流が飛躍的に増大するとみており、英語で積極的にコミュニケーションを取る能力はもはや特殊技能ではなく、すべての子どもたちが生涯に渡り必要とされるとしています。
グローバル化が急速に進展する中、東京都では、学習指導要領に基づき、「聞くこと」「読むこと」「書くこと」に加えて、都立小学校、都立中学、都立高校において「話すこと」にも重点を置いた教育改革を推進中です。
小中高の一貫した「話す」教育の実現
さらに、2017年3月には、文部科学省から小学校と中学校の新学習指導要領が公示されました。その中では、「話す」が、新たなに「話すこと(やり取り)」と「話すこと(発表)」の2領域として設定されています。この改訂により、小学校と中学校の学習現場では、英語で考えや気持ちなどを伝え合う対話的な活動や指導がいっそう重視されていくことになるでしょう。高校の学習指導要領でも、同様の改訂が予定されています。
現在、中学校では学年が進むにつれて、都立高校の入試で「話すこと」が評価されていないことが、小中高一貫した「話すこと」の指導に影響を与えていると指摘されています。
都教育委員会は、都立高校の英語入試にスピーキングテストを導入することで、小中高で一貫した「話す」教育の実現を目指しています。
大阪府では英検など外部検定のスコアを換算した点数と入試の点数のうち高い方を採用できるなど、高校入試で英語4技能をもれなく評価する動きは既に始まっています。また、2020年度から大学入試センター試験に代わって導入される大学入学共通テストでは、外部検定を活用した英語4技能の評価が英語の点数となります。
今後、「話すこと」の能力はあらゆる場面において、ますます評価されていくでしょう。受験を有利に進めるためにも、「話すこと」の学習を怠りなく進めていきたいですね。
「東京都立高等学校入学者選抜英語検査改善検討委員会報告書」について|東京都教育委員会