「英語4技能」を重視、“話せる・書ける”の時代へ

竹内みちまろ

英語教育の現場で「英語4技能」というワードが注目を浴びています。英語4技能とは、「Listening・Speaking・Reading・Writing」、つまり「聞く・読む・話す・書く」の4つの技能を指します。

「英語4技能」を重視、“話せる・書ける”の時代へ

 

なぜ 「英語4技能」が注目を浴び、重要視されているのでしょうか?

 

そこで今回は、今後の英語学習や試験においてのカギとなる、「英語4技能」について紹介していきます。

 

 

 

英語4技能が重視とされる理由

 

文部科学省Webサイトに、「英語教育改革の背景」と「英語4技能を習得することの必要性」が記されています。

 

グローバル化が進展する中で、国際共通語である英語力の向上は日本の将来にとって極めて重要であることは論を待ちません。特に、生涯にわたり「聞く」「読む」「話す」「書く」の4技能を積極的に使えるようになる英語力を持った人材を育てることは、教育界・実業界をはじめとした社会全般の課題でもあります。

「英語4技能資格・検定試験懇談会」について (2015年1月23日) より

 

東京オリンピック・パラリンピックが開催される2020年はもとより、現在学校で学ぶ児童生徒が社会で活躍する2050年頃には、日本は多文化・多言語・多民族の人たちが協調と競争する国際的な環境の中にあることが予想されます。

 

そういった中、様々な場面において英語(外国語)でのコミュニケーションを行う機会が格段に増えることが想定されるため、4技能を習得する必要があるとされています。

 

 

 

大学入試で注目される英語4技能

 

上智大学では、既に2015年度から、従来の英語(外国語)の個別試験を受ける入試方法に加えて、英語の試験の代わりに英語4技能を測る検定試験「TEAP」を受ける一般入学試験(TEAP利用型)を採用しています。

 

TEAPとは

TEAP(ティープ)とは、Test of English for Academic Purposesの略語で、上智大学と公益財団法人 日本英語検定協会が共同で開発した、大学で学習・研究する際に必要とされるアカデミックな場面での英語運用力(英語で資料や文献を読む、英語で講義を受ける、英語で意見を述べる、英語で文章を書くなど)をより正確に測定するテストです。

 

テスト形式は総合的な英語力を正確に把握することができるよう「読む」「聞く」「書く」「話す」の4技能で構成しています。とりわけ日本の英語学習者の弱点と言われる「Speaking」と「Writing」については、世界的に有名な英国のベッドフォードシャー大学の研究機関であるCRELLA(Centre for Research in English Language Learning and Assessment)の監修のもと、開発を行いました。

TEAP | 公益財団法人 日本英語検定協会 より

 

TEAPは、主に高校3年生を対象とした大学入試を想定して開発されており、難易度の目安としては、英検準2級〜準1級程度。日本の高校3年生の英語を測定するのに最適なレベルとなっています。

 

上智大学のほか、2016年度入試では、立教大学、中央大学、南山大学でもTEAPを利用した入試を採用しました。2017年度には、明治大学、早稲田大学、青山学院等でも導入が予定されています。

 

筑波大学は、2018年度推薦入試に、TEAPや英検などの英語4技能を測定する検定試験を導入すると発表しました(医学類は2017年度から)。2019年度入試からは、一般入試にも取り入れる予定とのことです。

 

その他多くの大学が、入試へTEAPの採用を進めており、今後は更に拡大していくでしょう。

 

 

 

高校入試も4技能化が進む?

 

文部科学省は今月2日、今回が初となる「中学3年対象の英語4技能を測った英語力調査結果(速報)」を公表しました。

 

文部科学省は、中学卒業段階において「実用英語技能検定(英検) 3級程度以上の割合を50%」にすることを目標として掲げていましたが、4技能とも50%には届かず、2〜4割にとどまりました。

 

同省はこの結果も踏まえ、2019年度以降、3年に1回、中学3年生全員を対象とする全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)と同日程で、英語4技能を測る英語力調査の内容を「Listening・Reading・Writing」を45分程度、「Speaking」を後日に10分程度の時間で行うとの案を示しました。

 

質問紙調査では、「Speaking」の得点が高い生徒は、点数が低い生徒と比べて「授業で英語による話し合いを取り入れている」と答えた割合が高く、授業内容と得点の相関関係がみらました。

 

現在は大学入試が先行する形になっていますが、今後は高校入試や授業においても4技能が重視されていくため、4技能をバランス良く身につけていくことが重要といえます。

 

学校の授業や入試でも、4技能の学力が問われ始めますので、まずは「英語4技能」という言葉に注目してみてはいかがでしょうか。

 

 

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