第11回:英語でスピーチをしてみよう(1)

本多 敏幸(ほんだ・としゆき)

皆さんは英語のスピーチの発表を行ったことがありますか。英語の授業では「外国語表現の能力」を評価するのにスピーチが取り入れられることもあると思います。今回は、スピーチ発表に向けての学習法を2回にわたり紹介します。

第11回:英語でスピーチをしてみよう(1)

 

 

英語のスピーチの種類

 

スピーチにはいくつかの種類があります。分類してみましょう。

 

 

【1】 形式や内容・目的

① 演説、弁論、比較的長いスピーチ(Public Speaking)
② 提案、発表などを目的としたスピーチ(Presentation)
③ 絵・写真・実物等を見せ、それについて説明するスピーチ(Show & Tell)
④ 自己紹介などの簡単なスピーチ(Short Speech)
⑤ 聞き手に何かを教えたり、情報を与えたりすることを目的としたスピーチ(Informative Speech)
⑥ 聞き手に自分の意見・提案などを納得させることを目的としたスピーチ(Persuasive Speech)

 

【2】 準備や発表の方法

① あらかじめ原稿を準備してあるスピーチ(Prepared Speech)
② スピーチの原稿を暗記して行うスピーチ(Memorized Speech)
③ スピーチのアウトライン、要点のみをメモし、そのメモを見ながら行うスピーチ(Extemporaneous Speech)
④ その場で与えられたテーマについて行う即興のスピーチ(Impromptu Speech)

 

 スピーチはこれらの分類のうち、どれか1つに分類されるわけではありません。例えば、絵や写真など自分の大事にしているものを見せながら、あらかじめ考えておいた原稿を暗記して行うスピーチなら、【1】の③、【2】の①、【2】の②を合わせたものになります。

 

 中学校で行われるスピーチは、赤い文字のものが多く、高校では、赤い文字のものに青い文字を加えたものが多いようです。ディベートを行っていれば、【1】の⑥も加わります。

 

 

 

スピーチ原稿の書き方

 

中学校や高校の授業では、スピーチ原稿を書いてから発表することが多いと思います。そこで、基本的なスピーチ原稿の書き方を紹介します。

 

 

【1】 アイディアのしぼり出し

 

テーマについてどんなことが言えるのか、何を言いたいかを発展・整理するために、思いついたことを書き出します。

 

箇条書きでどんどん書いていく方法もありますが、ここでは「マッピング」という方法を紹介します。マッピングでは、ある語句から思いつくことを下の図のようにクモの巣状に書いていきます。

 

1つの固まり(例:図の中の「夢」の部分)が話の中心になるので、話をそらさずに、流れのしっかりとしたスピーチを書くことができます。

 

◇「将来の夢」というテーマのマッピング

「将来の夢」というテーマのマッピング

 

 

【2】 話す内容の決定

 

一般的にスピーチは「序論」「本論」「結論」の3つのパートで構成されています。各パートでどんなことを述べられるのか、上のマッピングの図を見ながら考えましょう。

 

■ 序論(Introduction)

 

何について話すのかを伝える。

上の例だとテーマは「将来の夢」についてです。

 

結論をはっきり述べる。

この例では結論は「消防士になりたい」ことですね。

 

聞き手に興味を持たせる工夫をする。

この例ならDo you know how many fires break out every year?(毎年何件の火事が起きているか知っていますか)などと聞き手に質問すると効果的です。

 

■ 本論(Body)

 

結論に至った理由や根拠について具体的に述べる。

2~3のポイントにしぼるといいでしょう。この例だと消防士になりたい理由になります。相手を納得させられるように、調べたことを述べたり、自分の体験を述べたりするといいですね。

 

■ 結論(Conclusion)

 

本論で述べたことをもとに、序論で述べた結論を再度述べる。

この例なら消防士になりたいことを再度述べましょう。

 

 

【3】 下書き原稿の完成

 

下書きは、最初から英語で書き始めましょう。日本語で考えると後で和文英訳をしなければなりません。構成や話の流れに気を付けながら書きます。

 

つづりの細かい誤りや文法は後でチェックするので、この段階では内容に集中して書きましょう。

 

 

【4】 原稿の自己チェック

 

書いた原稿を次のポイントでチェックしましょう。完璧にはチェックできないかもしれませんが、自分で読み直すことが大切です。

 

icon_checkテーマからそれていないか

icon_check説明不足などで分かりづらいところはないか

icon_check文法や単語のつづりは正しいか

icon_check聞き手(クラスメート)が理解できない語句を使っていないか

 

 

【5】 清書作成

 

チェックしたことを踏まえて清書を書きます。清書の前に学校の先生や友だちなどに見てもらうとよいでしょう。

 

次回「第12回:英語でスピーチをしてみよう(2)」では、学校でよく行われている、原稿を見ないで行う暗唱型のスピーチの練習方法について説明していきます。

 

 

参考資料)
スピーチ学習ビデオ アクティブスピーチ指導書
監修・企画: ELEC同友会英語教育学会実践研究部会
出版: TDKコア株式会社 (2001年)

 

 

『英語力を伸ばす学習法』リストページ

https://www.ei-navi.jp/news/nobasu/list/

 

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この記事の筆者について

本多 敏幸(ほんだ・としゆき)

PROFILE

東京都の教員として38年間勤務。現在、千代田区立九段中等教育学校、都留文科大学、文教大学で講師として教えるほか、NHKラジオ「中学生の基礎英語レベル1」の講師として活躍。ELEC同友会英語教育学会会長。学習指導要領の改訂に関わる。また、全国各地で教員向けの講演を行っている。
著書に、本多式中学英語マスターシリーズとして『反復基礎』『短文英単語』『速読長文』(以上文藝春秋)、『中学校外国語新3観点の学習評価完全ガイドブック』、『入試英語力を鍛える!授業アイデア&パワーアップワーク40』(以上明治図書)、『若手英語教師のためのよい授業をつくる30章』(教育出版)、『NHK CD BOOK 中学生になるまでに身につけたい! 小学英語 パーフェクト・レッスン』(NHK出版)など多数。

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