今回も前回に引き続き、センター試験の解答時間の短縮と正解率のアップを同時に実現するための戦略を、大問ごとに分かりやすく解説していきます。
前回の記事:【第1回】センター試験(英語):解き方と時間配分
前回は、センター試験 英語(筆記)の問題数と配点の関係や第1問と第2問の解き方の戦略と時間配分の目安を解説しました。今回は、第3問から第5問の解き方の戦略と時間配分の目安を取り上げます。
大問ごとの解き方と時間配分の目安
(読解系: 第3問~第5問)
■ 第3問 A 不要文削除/B ディカッション
(問題数6問、配点33点)
A 不要な文の削除(3問、各5点=15点)
以下、実際の試験問題を使って攻略のポイントを記します。1問につき2分~3分、3問で7~8分程度が目安。
(センター試験 英語(筆記) 平成30年度 第3問 A 問1)
次の問いのパラグラフ(段落)には、まとまりをよくするために取り除いた方がよい文が一つある。取り除く文として最も適当なものを、それぞれ①~④のうちから一つずつ選べ。
When you encounter unfamiliar things in a new environment, you may experience culture shock even in your own country. When Tsubasa started college life away from his family, everything seemed exciting and new to him, but then he began to feel unexpected anxiety about his surroundings. ① He realized people sometimes misunderstood him because of his regional accent and expressions. ② He knew that his parents missed him very much because he was their only child. ③ He also noticed many of his classmates had learned various things in high school that he had never even heard of. Everyone seemed smarter, more mature, and even more fashionable than he was. ④ He was afraid he was already too far behind in everything. However, it turned out that most of the other students had more or less the same feelings of anxiety he had. Now, he enjoys studying at college without such feelings.
★Point 1
最初の数行をよく読み、文のトピック(抽象的)を把握する。
in a new environment「新しい環境では」 → unfamiliar(不慣れな), culture shock(カルチャーショック), unexpected anxiety(予期せぬ不安)等のマイナス・ネガティブなことがある」
★Point 2
下線部の英文が、トピックの抽象表現と語彙・内容ともに合うかどうか、つまり、「抽象→具体の関係」が成立しているかを確認しながら読む。
選択肢①:people(周囲の人々)/misunderstood him(誤解した) →成立
選択肢②:his parents(自分の両親) →his parentsはnewではないので不成立
選択肢③:his classmates/he had never heard of →成立
選択肢④:Everyone/afraid→far behind→周囲の皆と自分を比較して遅れを心配→成立
★Point 3
合っていない英文が削除対象、つまり正解となる。
選択肢①:people(周囲の人々)/misunderstood him(誤解した) →成立
選択肢②:his parents(自分の両親) →his parentsはnewではないので不成立
選択肢③:his classmates/he had never heard of →成立
選択肢④:Everyone/afraid→far behind→周囲の皆と自分を比較して遅れを心配→成立
★Point 4
正解を見つけたら軽い確認で済ませ、すぐに次の問題に移って時間を稼ぐ。
②が正解だと分かったら、他はキーワードを軽く確認する程度で十分。
実際にはこれらのステップをほぼ同時に行うことで、短時間で得点することが可能になります。
B ディスカッション(3問、各6点=18点)
身近な話題について、生徒同士がディカッションを展開。語数は設問を合わせて500語程度。以下、解き方のコツ。1問につき、2~3分、全体で7~8分程度が目安。
★Point 1
まずは日本語の設問文を読み、議論のテーマと概要を把握する。すると第一段落(最初の司会の発言)はほぼ理解できる。
★Point 2
それぞれ、3種類程度の異なる意見が出る。それぞれに意見と根拠を述べる。
★Point 3
2つ目の意見は最初の意見を一旦受け止めて、異なる見解を述べる場合が多い。
★Point 4
最初の意見を正しく掴めば、それぞれの意見と根拠に焦点を当てて速読できる。
■ 第4問 A 図表・グラフを含む長文/B 広告文
(問題数8問、配点40点)
A 図表・グラフを含む長文(4問、各5点=20点)
英文自体は短めなので、早く解くことが重要。以下、攻略のポイントを記します。おおよそ、6~7分程度が目安。
★Point 1
まずはグラフとグラフのタイトルに目を通し、本文の概要を把握する。第1段落はグラフの説明となる場合がほとんどなので、「先読み」が可能になる。
★Point 2
問1の設問文の英文は本文の内容の一部に触れている。これを手掛かりに本文の該当箇所を特定する。
★Point 3
グラフだけ、またはグラフ+α(本文の一部)だけで解ける問題が2問ほどある。設問→グラフ→本文の該当箇所と選択肢の順番で目を通すと正解率が上がる。
B 広告文(4問、各5点=20点)
広告は誰が見てもすぐに分かるように作るものなので、落ち着いて解けば点数を稼げる問題。以下、コツを記します。おおよそ、7~8分程度が目安。
★Point 1
まずは設問の日本文を見て、何の広告かつかむ。
★Point 2
次に広告を見て、商品やイベントの内容と種類、時間、場所、価格などをざっと把握する。
★Point 3
後は、各問いの英文を読み、広告の該当箇所を特定して選択肢と照合する。
★Point 4
広告の下の方や、各パートの下に細かく書いてある注意書きに関する問題が1~2問出題される。Point 2でつかんだ内容だけでは解けない場合は注意書きを参照する。
■ 第5問 物語(日記文)(問題数5問、配点30点)
平成30年度は科学者による日記文が出題されていますが、私的な経験や感情を元に文章が構成されているため、28年度から続いている物語文とほぼ同じと考えることができます。
内容は決して難解ではありませんが、語数は例年600語程度と時間の割に多いため、やはり、早く正確に読み解くコツが必要です。それでは、以下に、そのポイントをまとめます。
★Point 1
淡々と読み進めながらも、文章全体としての「最も重要なテーマ」をつかむ。
★Point 2
各設問の英文に一瞬軽く目を通すことで「何が書かれているか」を予測する。
(平成30年度なら、問1の“explorers' journey”問2の“observing the planet from space”“intelligent creatures”から「他惑星での生命探査」が書かれていると予測できる)
★Point 3
設問はほぼ英文と同じ順番。
→少し読んだら解けそうな問題を順に解いていく。
★Point 4
難問は「最も重要なテーマ」に関する問題。
→「読者として感情移入する視点」と「その上で解答者として客観的に問題を捉える視点」の両方から、文章と設問を考え合わせることが、的確に正解をつかむコツ。
次回(【第3回】センター試験(英語):解き方と時間配分)では、第6問を取り上げます。
※センター試験 英語(筆記)平成30年度本試験の問題および過去の試験問題は、大学入試センターのウェブサイトよりご覧いただけます。
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