【中】英語で自分の意見を伝えよう! ~2020年から英語教育が大きく変わる~

伊藤 太 (いとう・ふとし)

前回はシンプルに自分の意見を伝える「サンドイッチ構造」という論理の展開方法を中心に取り上げました。今回は、論理展開の基本を踏まえ、さらに説得力が増す「定番の展開方法」を取り上げます。

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前回の記事:【上】英語で自分の意見を伝えよう!

 

 

英語で自分の意見を伝える「定番の論理展開」

 

前回紹介した「サンドイッチ構造」は、「言いたいことを明確に伝える」簡単な方法ですが、「主張+根拠+主張」でしたね。

 

今回は、「サンドイッチ構造」を軸としながらも、「他の2つの要素(=論理パーツ)」を加えて「さらに表現力と説得力を増す」方法を紹介します。

 

 

 

2つの論理パーツ「譲歩」と「具体例」

 

【1】論理パーツ「譲歩」を加える

 

「確かに~に見える」「多くの人々が~と考えてきた」のように、他の見方や考え方にも触れることを「譲歩」と呼びます。

 

<例>
【主張】 人はお金で幸せになることはできないと思う。
【譲歩】 確かに、お金は幸福をもたらすと考える人々もいるし、実際にそう感じている人もいるかもしれない。
【主張】 しかし、私は必ずしもお金だけで幸福になるとは思わない。
【根拠】 なぜなら、お金は人生の目的ではなく手段の一つに過ぎないからだ。
【結論】 従って、お金があれば幸福という考えは単純過ぎるし非現実的だと思う。

 

他人の意見に耳を貸さない人間の主張は説得力を欠きます。なので、このようにいったん自分の立場を明らかにした上で、自分の意見とは違う、あるいは反対の意見や考え方にも触れることで、『この意見は、様々な視点から物事を見て、一考した上で導き出されたものである』という好印象を与えます。これを踏まえて自分の考えを伝えることで、一層説得力が増します。

 

 

【2】論理パーツ「具体例」を加える

 

さらに、根拠を支える具体例を加えると、より主張や意見に真実味が増します。

 

<例>
【主張】 人はお金で幸せになることはできないと思う。
【譲歩】 確かに、お金は幸福をもたらすと考える人々もいるし、実際にそう感じている人もいるかもしれない。
【主張】 しかし、私は必ずしもお金だけで幸福になるとは思わない。
【根拠】 なぜなら、お金は人生の目的ではなく手段の一つに過ぎないからだ。
【具体例】例えば、お金で高価なものを買うことはできるが、真の友情や愛を買うことはできないからだ。
【結論】 従って、お金があれば幸福という考えは単純過ぎるし非現実的だと思う。

 

このように、根拠で触れた「手段の一つ」と対応する形で、より具体的に「買う」という行為と、その対象となる「高価なもの」、「友情や愛」とを例示すると、根拠が一層強力になります。

 

2つの論理パーツ「譲歩」と「具体例」を加えた英文例を示しますので、確認しましょう。

 

<英文例>
【主張】 I don't think that money is the most important in order to be happy.
【譲歩】 It is true that some people believe money brings happiness, and it might be possible that some actually feel that way.
【主張】 However, I don’t think money can make us happy.
【根拠】 It is because money is only a means but not a purpose of life.
【具体例】For example, you can buy luxurious things with money, but not a real friendship or love.
【結論】 Thus, I think it’s too simple and far from realistic to believe that money is the only source of happiness.

 

 

【3】便利な定番フレーズ

 

続いて、上記の英文例の下線部に注目してみましょう。これらはそれぞれの「論理パーツ」の目印となる「便利な定番フレーズ」です。

 

 

【譲歩】

 

it is true (that) ... 「確かに…」、 It might be possible (that) ...「…もあり得るかもしれない」、この2つは譲歩の定番中の定番です。

 

また、some people believe (that) ...「…と信じる人もいる」、some actually feel「実際に…と感じる人もいる」のように、不特定で複数の人を主語にして、believefeelなどの主観的な意味を持つ動詞を使い、主張で使うthink以下に客観的な印象を与えるのも定番です。

 

 

【主張】

 

however「しかしながら」は、but、yetなどの逆接表現と並び、主張を表す際の目印となる定番表現です。

 

 

【具体例】

 

for example「例えば」は最もよく使われる具体例の定番表現です。他にも、for instance「例えば」や in fact「実のところ」などもよく使われます。

 

 

【結論】

 

thus「このように、従って」は最もよく使われる結論の定番表現の一つです。他にも、therefore「従って」や、in conclusion「結論として、要するに」などもよく使われる便利な定番表現です。

 

 

 

論理の展開方法についてのまとめ

 

上記【1】【2】のように、「サンドイッチ構造」に「譲歩」と「具体例」を加えることで、説得力が増すと同時に「流れ」がよくなります。

 

実はこの「流れ」こそが「定番の展開方法」なのです。自分の意見や考えを伝える際に、まずは普段から、使う言語に関係なく、この「定番の流れ」を使って自分の意思を表現する練習を始めるとよいでしょう。

 

次回は、今回紹介した「定番の展開方法」をより簡単に駆使するだけでなく、より幅広い表現ができるようにするための、様々な「便利な定番フレーズ」を取り上げます。

 

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この記事の筆者について

伊藤 太 (いとう・ふとし)

PROFILE

株式会社Weness 代表取締役社長。大手予備校・有名進学塾等で英語講師を務め、東大クラス・医学部コース等を担当。作成した教材から東大・筑波大等の入試長文問題を的中。コーチングを取り入れた研修方法を確立し、数多くの講師・教員の授業力・授業アンケート向上に寄与。現在、多数の私立学校にコンサルタント、アドバイザーとして関わるとともに、ネイティブスピーカーを含む学校教員・予備校講師(100名超)のコーチを務める。

著書に「基本の78パターンで 英会話フレーズ800」「使える動詞だけ覚えなさい! 英会話フレーズ700」(ともに西東社)、「いちばんわかりやすい 英検準2級まるごと問題集」「いちばんわかりやすい 英検3級まるごと問題集」(ともに高橋書店)、「はじめてのTOEIC(R) L&R テスト『先読み』と単語で730点突破!」(大和書房)など多数。

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