受験生の皆さんにとって、特に自由英作文の対策は難しい面があるかと思います。前編に引き続き、いつでも短時間で効率的に高得点を狙うことのできる自由英作文の書き方を伝授します。
前編では、自由英作文の型、根拠や結論の作り方のコツ、ディスコースマーカー(談話標識)などを取り上げました。後編では、これまでのポイントを踏まえた実践例や採点の方法、採点基準などを紹介していきます。
5. 実践演習
では、ここまでのポイントを踏まえて、実践例を紹介しましょう。
■ 実践問題①
When we ride a bicycle, should wearing a helmet be compulsory? Yes or No? Write your opinion around 50 words.
(著作権: 株式会社Weness)
(解答例)
I think wearing a helmet should be compulsory, …主張(8)
since it can avoid serious injuries. …根拠(6)
Last year, my brother had a bicycle accident but his helmet protected him. …実証的根拠(具体例)(13/27)
If he hadn't worn the helmet, he might have a serious head injury. …仮説的根拠(13/40)
Therefore, we should wear a helmet when riding a bicycle.…結論(10/50)
このテーマは2000年以降、東京大、青山学院大、立命館大を含め、多くの大学・学部で出題されており、50語~80語程度の出題がほとんどです。この程度の軽めのテーマであれば、前述の通り、ほぼ「主張+根拠」で足ります。
最初に提示された文をそのまま主張に流用し、簡単な根拠を提示していますね。この根拠を補強するため、まずは「弟が事故にあったがヘルメットのおかげで助かった」(実証的)とし、「もし、ヘルメットをしていなかったら…」(仮説的)と単純に反対の仮説を組み合わせるだけで「論が成立」しています。仮定法という重要文法も効果的に使用しており、採点官の印象も良くなるでしょう。
そして、最後は単純に主張を再提示し「サンドイッチ構造」にして、「採点官が読みやすい」英文としていることが分かりますね。
■ 実践問題②
●Write an essay on the given TOPIC.
●Use TWO of the POINTS below to support your answer.
●Structure: introduction, main body, and conclusion
●Suggested length: 120-150 words
【TOPIC】
Agree or disagree: Japanese companies should hire more foreign workers
【POINTS】
●Aging population
●Costs
●Cultural differences
●Globalization
(英検2018年度 第3回検定 準1級 大問4より)
(解答例)
Faced with an aging population and increasing global competition, Japanese companies could benefit greatly if they hired more foreign employees. (前提の確認⇒主張)
Currently, many older workers are retiring, and replacing them is becoming difficult due to declining birthrates. Bringing in foreign workers, however, ①would make it easy for Japanese firms to maintain their work forces. Moreover, ②since these new employees would live in Japan, they would also stimulate demand for goods and services.
In addition, ③foreign workers would help companies deal with globalization. Foreign workers have knowledge of market conditions abroad, and this knowledge would be indispensable for Japanese companies. Moreover, ④foreigners would bring in innovative ideas from other countries that would help make Japanese firms more competitive. (根拠を4つ)
Although there may be issues with cultural differences or communication, the need for more workers and the challenges of competing globally make it essential that Japanese companies start bringing in more workers from abroad. (譲歩+主張の再提示)
*上記はあくまでも解答例です。(英検2018年度 第3回検定 準1級 解答より)
では解答例について、解説します(この解説は、筆者の見解であり実用英語技能検定の採点基準とは関係ありません。「6. 採点の方法、採点基準」についても同じ)。
まず、POINTSに示された語を使って前提条件を確認した上で、主張を提示していますね。次に、4つの根拠を示していますが、それぞれ見ていきましょう。
① Japanese companiesの視点、つまり、設問での「主語=主役」の視点[1人称的]
② 社会的視点[3人称的]
③ foreign workersに立った視点[2人称的]
④ foreigners が Japanese companiesにもたらす恩恵という視点[2人称+1人称的]
そして最後に、Although を使って譲歩を提示しつつ、主張を再提示しています。この譲歩も、POINTSをヒントにしなくてもすぐに思いつくような、主張に対してマイナスに働く要素 “cultural differences” を使用しているに過ぎません。
このように、上記の1.自由英作文(エッセイライティング)の型と2. 「根拠/具体例」の作り方のコツ、加えて3. 「結論」の作り方のコツを知っていれば、手早く簡単に高得点が取れる英作文が書けるというわけです。
6. 採点の方法、採点基準
自由英作文を採点する際の基準は、ほぼ以下のように共通しています。
(ア) 語数指定が守られているか
「~以内」⇒1語でも超えれば0点。少なくていいのは10語まで。11語以上少ない場合は0点。
「〇〇語~××語」⇒その範囲内のみ採点対象。範囲内であれば語数は関係ない。
(イ) 論理的に一貫しているか
主張と根拠の間の論理的関係(因果関係等)が明確か。根拠が不明確であれば減点。意味不明であれば当該箇所は0点。譲歩と主張、結論等の関係も同様。
(ウ) 設問の指定に従っているか
「根拠を3つ」とあって、2つしかなければ大幅減点。4つあれば1つ分減点等。
(エ) 文法上の誤りはないか
センテンスの意味が不明確になるミス(主述関係が不適切、動詞がない等)は2~3点減点。文法上重要なミスは2点程度、軽微なミス、スペリングミスは1点減点というのが相場。
最後に
自由英作文が初めから得意という人はごくわずかです。前編で紹介した1.~3.の「型」と「コツ」をぜひ使って練習してみてください。また、問題集や過去問の解答などを参考に上記5. の解答例ように分析をしてみると、見違えるように「書き方」が身に付いてくるはずです。
ただし、「ローマは一日にして成らず」。語彙力や文法力に磨きをかけ、長文読解力を伸ばしていく中で、ライティングスキルが備わってくるという面も否定できません。「千里の道も一歩から」です。半年くらいして、この記事をもう一度読み返してみると、「なるほど、こういうことだったか」「そうだよな」「これは身に付いたけれど、これはまだだな」など、自身の成長の意味とプロセスが分かるでしょう。期待しています。
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