小学生の英検志願者数が大幅増、新学習指導要領が浸透

堤谷 孝人

公益財団法人 日本英語検定協会は先日、昨年2015年度の小学生志願者数が大幅にアップしたと発表しました。この結果が、小学校の英語教育改革の流れと連動していると捉えると、今後、家庭でとるべき英語教育の方針も見えてくるかもしれません。

小学生の英検志願者数が大幅増、新学習指導要領が浸透 

 

志願者数が4年間で24%も増加

 

公益財団法人 日本英語検定協会の発表によると、2011年度と2015年度ならびに2015年度第1回と2016年度第1回の小学生志願者数を比較したところ、いずれも増加していることが分かりました。

 

これによると、2011年度と2015年度の志願者数を比較すると、総数で24%も増加。また、2015年度第1回と2016年度第1回の比較すると、総数で10%の増加。この傾向は続くと見られ、来年度以降も志願者数が伸びていくと同協会は見ています。

 

 

2011年度(外国語活動の導入年)と2015年度比較:小学生の志願者数(人)と増加率(%) 

小学生の英検志願者数が大幅増、新学習指導要領が浸透

 *総数には学年未記入分を含む

 

興味深いのは、これに加えて発表されている、学年ごとの志願者数の伸び。6年生をトップに、学年が下がるほど志願者数自体は減少していますが、年度を比較したときの増加率はそれとほぼ反比例するような数字を示しており、1年生の増加率が最も高くなっています。

 

 

2015年度第1回と2016年度第1回:小学生の志願者数(人)と増加率(%)

20161014-02

*総数には学年未記入分を含む

 

これは、年を追うごとに、英検への期待感と需要が高まっていることが捉えます。

 

 

これと連動しての結果か、同発表では、2016年度第1回と2015年度第1回検定の小学生の受験級についての比較では高い級ほど志願者数が伸びており、準1級の増加率は31.9%、続いて準2級で17.8%、3級で16.7%となっています。

 

 

2015年度第1回と2016年度第1回:小学生および全体の級別志願者数 増加率(%) 

小学生の英検志願者数が大幅増、新学習指導要領が浸透

 

 

未受験の小学生がいきなり高い級を志願することは考えづらく、低い学年のときから何度も英検を受験した結果、高い級ほど志願者数が伸びているのだと推測することができます。

 

 

 

小学生志願者数はなぜ大幅アップしたのか?

 

この志願者数上昇傾向を、同協会は次のように考察しています。

 

 

  • 文部科学省の新学習指導要領にて小学校5,6年生での外国語活動が必修化されてから、小学生の英検志願者数は顕著に増加していることから、全国的に小学生の英語学習が広く浸透しているものと思われる。
  • さらに、小学生の英語レベルは上がっており、それが上位級の志願者数の増加からみてとれる。

公益財団法人 日本英語検定協会|小学生の志願者数が大幅アップ より

 

 

2008年度にスタートした小学校5,6年生での外国語活動は、2011年度から「小学5年生から必修」となって、子どもの英語力の引き上げとともに、教育現場や家庭の英語に対する意識も変えました。教師は自分の英語力向上をより目指すようになり、子どもの習い事では英語教室が上位に食い込むようになっています。

 

 

 

英語優先の考え方は加速していく

 

文部科学省によると、2020年度には「小学3年生からの必修化」と「小学5年生からの教科化」が完全実施される見込みです。

 

「必修化」は必ず小学校で教える必要があるものの、「教科」ではないため、テストがなく学習内容や教材も学校が独自に決めることができます。「教科化」は、国語や算数のようにテストによって成績が付けられるものです。

 

現状では小学5年生からの英語必修が3年生に下がり、小学5年生からは教科としての「英語」が誕生することで、子どもの英語力への関心は、ますます社会的に高まると予想されます。これに伴って、英語力の指標となる「英検」のような外部試験にも注目が集まるでしょう。

 

オリンピックイヤーでもあり英語教育改革が大きく動く2020年度までには、まだ時間があります。家庭の英語教育の一環として、今のうちから英検受験を視野に入れておくのもよいのではないでしょうか。

 

 

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