大阪の公立学校初となる国際バカロレア (ディプロマ・プログラム) の導入を予定している中高一貫校「大阪市立水都国際中学校・高等学校」が、2019年度に大阪市住之江区南港で開校します。
今回は、先日行われた学校説明会に参加して得た情報から、大阪市立水都国際中学校・高等学校 (以降、水都国際中高)がどのような学校なのかご紹介します。
大阪に“全国初”となる中高一貫校が誕生
大阪府の公立中高一貫校としては「大阪市立 咲くやこの花中学校・高等学校」、「大阪府立 富田林中学校・高等学校」があり、水都国際中高は3校目となりますが、「国際バカロレア (ディプロマ・プログラム) 」を導入 (予定) した公立中高一貫校としては府内初となります。
英語に興味を持つ方なら、「国際バカロレア」や「ディプロマ・プログラム」といった名称を聞いたことがある方もいらっしゃるかと思います。文部科学省Webサイトでは、次のように説明されています。
国際バカロレアのプログラム
IBプログラムは、アイデンティティー形成期にある年齢の児童生徒の発達ニーズとともに、学校が地域から求められる教育的要件、文化的状況や優先事項にも合わせられるよう、カリキュラムを編成している。
このため、PYPとMYPでは、主にカリキュラムの「枠組み」を提供している。一方、DPでは、世界中の大学への入学資格を生徒に授与することから、所定のカリキュラムが提供され、プログラムの規定が多くなっている。
ディプロマ・プログラム(DP)
DP (Diploma Programme) は16歳~19歳までを対象としており、所定のカリキュラムを2年間履修し、最終試験を経て所定の成績を収めると、国際的に認められる大学入学資格 (国際バカロレア資格) が取得可能なプログラムである。「日本語DP」の対象科目等を除き、英語、フランス語又はスペイン語で実施。
さらに、国際バカロレア認定された場合、公設民営による中高一貫校としては「全国初」となるため、全国から熱い視線を集めています。
“公設民営”の学校?
水都国際中高は、国家戦略特区制度を活用して、学校の設置者は大阪市ながら、民間の学校法人 大阪YMCAが管理・運営することとなります。
大阪YMCAは国際バカロレア (プライマリー・イヤーズ・プログラム) 認定校である大阪YMCAインターナショナルスクールを運営しており、国際バカロレア認定校としては水都国際中高の先輩。民間独自の知見や経験、繋がりなどが豊かです。水都国際中高の教員は、大阪YMCAが雇用した日本の教員免許状を持った外国人教員が多く配置される予定です。
ディプロマ・プログラムは2023年度の高校2年生から開設される国際バカロレアコースで実施される予定ですが、中学でも豊富な外国人教員を配置するという恵まれた環境を生かし、英語の授業はもちろん、他の一部の教科も英語で行い (イマージョン教育)、英語の習得と国際理解教育に力を入れる、という方針が、当校の大きな特長となっています。
大阪市では、再開発が力強く進められていますが、このような学校が誕生するのは、国際社会で活躍し、大阪の経済成長をけん引する人材を育てるため。英語教育だけではなく、自ら課題を発見し解決、発信できるようペアワークやグループワークなどのアクティブラーニングも十分に取り入れられるようです。
気になる大学進学は?
水都国際高等学校は、目指すべき英語運用能力を「CEFR B2 レベル (TOEFL iBT 72〜94、英検準1級等) 」と掲げています。これにより、国内のさまざまな国公私立大学だけでなく、海外大学進学も目指せるようにする、としています。
ちなみに、国際バカロレア資格を取得していると、国内外の導入大学で国際バカロレアの成績が生かせます。導入大学は国内では約50大学 (平成29年度 10月時点) 、国外では約4,000大学が挙げられます。
入学者選抜については、大阪市立咲くやこの花中学校・高等学校と同じ日程で、適性検査と面接を予定しているとのこと。入学者選抜の準備としては、下記が有効であるとの説明がありました。
- 小学校の学習内容をしっかり身につける
- 文章で表現する力を身につける
- 日頃からさまざまなことに興味・関心を持ち、それについて自分の考えを言えるようにする
今後は2018年度6月頃に「第2回学校説明会」を、夏休みにオープンスクールを予定。詳しい情報は、大阪市教育委員会のWebサイトに随時掲載していくとのこと。気になる方はチェックしてみてはいかがでしょうか。