11月17日にイー・エフ・エデュケーション・ファースト・ジャパンが発表した「国別英語能力指数 EF EPI 2016」で、日本の英語ランクは72か国中35位という結果となりました。この調査から、どのような課題が見えてくるのでしょうか。
「国別英語能力指数 EF EPI」とは?
留学・語学教育事業を展開する私立教育機関「イー・エフ・エデュケーション・ファーストは、世界72か国95万人の英語学習者がインターネットで受ける試験やテストから英語能力「EF スコア」を測定し、「国別英語能力指数 EF EPI」を作成しています。
2011年に初作成して、今回で6回目。同調査は、国単位の受験者のスコア総計によって、国の総合力として英語能力が「非常に高い」「高い」「標準的」「低い」「非常に低い」の5つの能力別グループに分けられます。
日本は、2011年の初調査以来、中位の「標準的」を5年間維持してきましたが、今回は昨年の調査から5位落とし(40位から35位へ)、国として初となる「低い」に転落。これは、アジア内での最大のランクダウンとなっています。
日本の英語力ランク推移(2011〜2016)
- 2011年 44か国中14位 「標準的」
- 2012年 52か国中21位 「標準的」
- 2013年 60か国中26位 「標準的」
- 2014年 63か国中26位 「標準的」
- 2015年 70か国中30位 「標準的」
- 2016年 72か国中35位 「低い」
2020年のオリンピックイヤーを控える中で
2011年の初調査以来、参加国が増えるといった外的要因があるものの、日本は右肩下がりで順位を落としています。2020年のオリンピックイヤーを控え、国を挙げて英語力強化に取り組んでいる中で、ショッキングな結果といえるでしょう。
では、日本が英語能力を下げている背景には、何があるのでしょうか。
同結果は、スコアをさまざまな分類で比較することができるのですが、無料でダウンロード可能な国別「EF EPI 2016 ファクトシート」にある、世代別(日本と世界との年齢別EPIスコア平均)で見ると興味深いことがわかります。
スコアを世代別に見ると、世界的に18~20歳、その次に21〜25歳と若い世代が高い傾向にあり日本も同様なのですが、世界平均と日本のスコアの差は、26〜40歳の間がもっとも開く結果となっています。
今、国内では生徒の英語力を上げようと教育改革が進められています。しかし、生徒の親世代は質の高い英語教育を受けられていたとは言いがたく、その結果が比較に表れていると見ることができそうです。
日本の英語能力強化の課題は
今回の結果では、アジア諸国では、「シンガポール」が前回からスコアを大きく伸ばして世界6位、アジアでは1位に。アジア2位に「マレーシア」、3位に「フィリピン」と続きます。
経済では世界の中でアジアが注目されており、アジア各国で市場競争が激化しています。英語はグローバルにビジネスを展開するために重要な能力ですが、日本がアジアの中で英語力に劣るという結果は、国の将来に影を落とします。
仕事に脂が乗る20代後半から40代のビジネスパーソンが英語能力を高めることで、国として英語力を底上げすると共に、世界における日本の存在感が増していくと考えられます。