文部科学省は、2016年4月4日に公表した2015年度「英語教育実施状況調査」。結果、中学で最も英語力が高いのは「千葉県」でした。
今回は、英語教育実施状況調査結果(都道府県別)で、中学1位/高校2位という、全国で最も英語力が高いといえる「千葉県」独自の工夫や取り組みを紹介します。
日本の玄関口「千葉県」
文科省の調査では、各都道府県における「『CAN-DOリスト』(※)による学習到達目標の設定状況」や「英語担当教員の英語力の状況」も掲載されていますが、これらの結果と英語力の結果は、必ずしも比例するとはいえないようです。
(※=学習指導要領に基づき、生徒に求められる英語力を達成するための学習到達目標)
英語力が高い自治体は、どうやら英語教育に外部機関の判定テストを導入したり、定期試験などにリスニングテストを取り入れたりするなど、独自の工夫を凝らしている場合が多いという見方があります。
では、千葉県はどのような工夫をしているのでしょうか。
千葉県といえば成田空港や千葉港を持つ「日本の玄関口」。海外からの観光客も多く、特にディズニーリゾートには多くの方が訪れます。キャストが海外の方に英語で案内している様子もよく見られます。
そんな千葉県は、他の都道府県に先駆けて1972年にはすでに小学校英語が実施されていたといいます。現在も、全国で英語教育に力を入れている都道府県の一つです。
例えば、成田空港がある成田市は「国際教育推進特区」に指定されており、さまざまな英語授業に関する取り組みがなされています。全国における英語科完全実施は2020年からのところ、成田市ではすでに「英語科」が設置されており、市の英語教育推進の拠点学校とされている成田小学校では、全学年にわたって20分の英語授業が週5回(週100分)実施されています。
2015年度「英語教育実施状況調査」では、小学校での都道府県を比較できる結果は示されませんでしたが、中高と好結果だったことから、小学校の取り組みが影響していると見るのは当然のことと考えられます。
小中一貫英語教育…高校も連携
千葉港がまたがる市の一つ、船橋市では、全国でも少ない小中一貫の英語教育を押し進めています。
中学校を卒業するまでに、英語でコミュニケーションを取ることができる子どもに育てるのが目標。すべての小学校にJC(英語指導コーディネーター)を、そして、すべての市立小・中・高・特別支援学校にALT(外国語指導助手)を配置しています。小学校では全学年に対して英語教育が実施されています。また、教師の授業研究や研修も盛んなようです。
更に千葉県では、2002年から県内の小・中・高校生を対象にした「チバ・インターナショナル・エデュケーション・プラン」がスタートしており、小中一貫に高校を加えた小中高が連携した英語を用いた実践研究が実施されています。これにより、実践的コミュニケーション能力の伸長が図られています。
今後、千葉県をモデルとした英語教育における工夫や取り組みが、全国に広がることが予想されます。