国を挙げてグローバル人材の育成が進む中で、「グローバルコース」を設置する学校が増えてきています。そして今、グローバルコースに保護者の熱い視線が集まっています。
グローバル人材? グローバルコース?
世界のグローバル化がいわれる中で、世界で活躍できる「グローバル人材」を育成するべく、国を挙げて積極的に教育改革が進められています。
「グローバル人材」とは、世界で活躍できる素地を備えた人材のことで、異文化に理解を示し、積極的にコミュニケーションが取れ、チャレンジングな精神や態度で困難を切り拓いていく、といった理想像が挙げられます。
グローバル人材には、当然、語学力が求められます。このため、教育改革の中でも、特に英語教育改革は目覚ましいものがあります。特に大きな変化としては、2020年に新制度が導入される大学入試。さらには、国際的に通用する大学入学資格(国際バカロレア資格)の設置や、スタートして1年以上が経過した文部科学省による「スーパーグローバルハイスクール(SGH)」構想など、英語教育改革は日進月歩の勢いです。
国際バカロレア資格についての過去記事
スーパーグローバルハイスクール(SGH)構想についての過去記事
SGHの現状と今後:課題解決能力を高め、グローバル・リーダーを育成
これらに対応できる力を付けるために、「グローバルコース」を設置する学校が増えてきました。グローバルコースでは、より実践的な英語力が備わるように、英語に特化した専門プログラムが導入されています。
グローバルコースに熱い視線が集中
目前では英語教育改革に対応するため、また将来的にはグローバルに活躍するために、学校に設置されたグローバルコースに興味を示す家庭が増えてきています。
英会話のGabaが小中学生の保護者1,000名に実施した「子どもの受験と英語教育に関する調査」によると、 中学校のグローバルコースに対して次のような期待の声が上がっています。
「大学受験で役立つ」 76.6%
「就活で役立つ」 80.9%
「就職後も役立つ」 80.6%
子どもの将来にとって、英語力は欠かせないものであり、その力が備わるグローバルコースが非常に魅力的に映っていることが見て取れます。
「中学校のグローバルコースが身近にあれば挑戦して欲しい」 65.7%
同時に、保護者が子どもにグローバルコースに入って欲しいと願うのも当然の流れでしょう。
バラエティ豊かなグローバルコース
学校ごとに教育理念や校風が違うように、グローバルコースにもさまざまな特長があります。バラエティ豊かなグローバルコースの中から、子どもに合った、またはより将来に繋がりそうな道を選んであげたいものです。
グローバルコースに関しては、最近Webや雑誌等でしばしば紹介されています。
グローバル教育に力を入れている私立中学校
神田女学園中学校 2015年度より新たに英語教育に特化したグローバル特別進学を設置し、国公立大・難関私立大を目指す「特別進学」と、確かな学力を定着させる「進学」の3クラス。3年次は中国語必修。ネイティブ教員による「オールイングリッシュ授業」を実施。 工学院大学附属中学校 英語で通常授業(英語、数学、理科)を行うハイブリッドインタークラス、文理を問わず幅広い科目をバランスよく学ぶハイブリッド特進クラス、数学と理科の授業時間を豊富に設置するハイブリッド理数クラスの3コースに分かれて学ぶ。 実践女子学園中学校 スタンダード実践クラス(SJC)はゆとりあるカリキュラムで基礎学力を、グローバルスタディーズクラス(GSC)は高度な英語教育で高い語学力を習得する。GSCは中国語も必修。 城西大学附属城西中学校 GA(グローバル・アーツ 〈国際理解〉)クラスは国際理解教育に特化したクラス。全学年、学力で分けないクラス編成。英語・数学などは習熟度別・少人数制の授業。体験学習を重視し、基礎学力を強化。3年次では卒業研究に取り組む。 玉川学園中学部 英語などの教科では少人数制や習熟度別学習を取り入れ、個々人の進度・理解度に合わせた指導や教科教室制など、基礎固めから発展・応用学習まで充実。国際バカロレア(IB)クラスは、英・数・理・社を英語で、美術や情報の授業をバイリンガルで実施。週5時間以上の個人サポート時間を確保。 三田国際学園中学校 本科とインターナショナルの2クラス制。相互通行型授業を実施。本科の英語・数学は繰り返し型学習「r-Test」で基礎学力を身につけ、インターナショナルはイマージョン教育をベースに様々な教科の授業を英語で行う。週1回の理科実験を含むサイエンス教育を実施。 東京女学館中学校 一般学級と国際学級がある。東京女学館の教育目標の実践課題の一つ、「国際的視野の育成」をさらに高めるのが「国際学級」。英語は、読む・聞く・話す・書くなどの言語活動を行う上での一つの道具と考え、日本語を含むすべての言語活動をバランス良く学習し、高いコミュニケーション能力を身につけ、国際的な社会で貢献できる女性の育成を目指す。 開智日本橋学園中学校 国際先端クラス(グローバル・リーディングクラス)、最先端クラス(リーディングクラス)、先進クラス(アドバンスドクラス)の3コース制。他教科を英語で学ぶイマージョン教育を導入。高校卒業までに全員英検準1級以上を取得できるようにする。 広尾学園中学校 「本科コース」「インターナショナルコース」「医進・サイエンスコース」の進路目標に応じたクラス編成。インターナショナルコースは、アドバンストグループ(AG)とスタンダードグループ(SG)の二つのグループに分かれる。AGは帰国子女などすでに英語力がある生徒を対象とし、国語や社会などの一部の授業を除いたすべての授業が英語で行われている。一方のSGはこれから英語力を身につけ、将来的に国際的な活躍を目指す生徒が対象。授業の多くは日本語で行われている。 文化学園大学杉並中学校 ハイレベルな先取り授業を行う「難関進学〈グローバル〉コース」と、きめ細やかな習熟度別授業で理解度に応じた学力アップを図る「総合進学〈シグネット〉コース」がある。難関進学の英語は外国人教師によるオールイングリッシュ授業。 明法中学校 英語・数学・国語に多くの授業時間を配分し、英数は1年次からコース(アドバンスとスタンダード)別授業。明法GE(グローバルエンデバーズ)では4時間連続でロボット講座やディベートを行うGE講座を設置、「科学を通じた人間教育」を実践。 春日部共栄中学校 英語の授業は英語で行うとともに、全教科英語での復習の時間がある。グローバルエリート(GE)とグローバルスタンダード(GS)のクラスがある。GEは授業課題に対する生徒の強い意欲や定着度などを求める。3年次は高校の内容を先取りする。 暁星国際中学校 レギュラー(特進)、インターナショナル、アストラインターナショナルの3コース。レギュラー(特進)の英語はネイティブと日本人教師のチームティーチング。インターナショナルはネイティブの教師がクラス担任。アストラインターナショナルはサッカーと英語を重視。難関大を目指す「放課後受験勉強会」を行う。 二松学舎大学附属柏 特選コース、選抜コース、2015年4月に開設したグローバルコースの3コース制。グローバルコースでは、ネイティブ教員による授業と7校時の講座が用意されている。多様な海外研修に参加する。中国語、韓国語の講座も受講できる。 麗澤中学校 「アドバンスト叡智(目標:東京大学)」と「エッセンシャル叡智(目標:難関大学)」の2コース制。グローバルリーダーとしての資質を育成する。特に英語に関しては、受験対応のみならず「言語技術」との教科連携により中3で英文エッセイが書けるレベルの実践的な力を修得できる。
グローバル教育に力を入れている私立中学校は、東京都, 埼玉, 千葉県だけでもこれだけあります。それぞれの学校で、高度な英語授業が行われたり、通常授業を英語で学んだり、外国人教師によるオールイングリッシュ体制が整っていたりと多種多様です。(2015年6月時点)
わが子に合った「グローバルコース」は、どれですか?