英語教育の低年齢化が進んでいます。幼児期からの英語教室に通わせる、通信教材を購入する、市販のCDやDVDをかけ流す、洋書を見せるなど、子どもが将来、英語を話せるように「できるだけ早くから英語を」と考える保護者が増えてきています。
日本全体が英語教育の強化に進んでいる
胎教としてマタニティから英語のCDをかけ流す、日本語を覚える前の赤ちゃんから音や本で英語に触れさせるなど、賛否両論を呼んでいる早期英語教育ですが、これほど動きが加熱する背景には、いくつかの要因が考えられます。
要因1:小学校での英語必修化
公立小学校の5・6年生で必修化されている「外国語活動」が、2018年に教科化される方向で進められています。
教科化されるということは、テストが行われ、採点され、通知表に成績が付けられるということです。ゆくゆくは、中学入試の受験科目にも導入されることが予想されます。
さらに、5・6年生での教科化と同時に、「外国語活動」の必修化が小学3・4年生に引き下げる見通しです。現在でも、ネイティブの教員が在駐している学校も珍しくありません。
大学入試では「読む」「書く」「聞く」に加え、「話す」技能、すなわち4技能の導入が広がっています。
このような動きから、「早くから英語に触れさせておきたい」と考える保護者が増えるのは無理からぬことのように思われます。
要因2:グローバルに活躍できる人材のニーズ増
経済や文化面などで急速にグローバル化している日本では、今後、さまざまな分野でグローバル化を推し進めるために、世界で活躍できる人材(グローバルに活躍できる人材)の育成に注力しています。熱が入っている英語教育はその一環と考えられます。
昨年度からは、高校で「スーパーグローバルハイスクール(SGH)」事業が開始され、指定された学校は、生徒が将来、国際的に活躍できるグローバル・リーダーとなれるために、「社会課題に対する関心」「深い教養」「コミュニケーション能力」「問題解決力」などの国際的素養が備わるよう、指導が進められています。
(英ナビ!で過去に紹介したスーパーグローバルハイスクール関連記事はこちら)
2020年 東京オリンピックも影響
注目を集めている2020年 東京オリンピックも、早期英語教育に影響していると考えられます。
要因3:2020年 東京オリンピックの「夢ビジョン2020」
文部科学省版は、東京オリンピックが開催される2020年を、日本社会を元気にし、新たな成長に向かうための「新たな成長に向かうターゲットイヤー」として位置付けています。
これを実現するために、具体的な取り組みを打ち出しているのが「夢ビジョン2020」という表明です。
ビジョンの中では、「オリンピックを学び、オリンピックから学ぶ」ための具体案として「OMOTENASHIができる英語教育を小学校から」という項目が掲げられており、「海外に友達を作れる英語力を小学校から」という狙いが記載されています。
オリンピックイヤーが近づくにつれ、小学校での英語教育の動きにもますます注目が集まりそうです。
幼児からの英語教育のメリット
早期化する英語教育については、「先に正しい日本語を覚えることが大切だ」「英語の前に、友達と遊んだり、運動をしたり、絵を描いたりすることのほうが、将来的に意味がある」などと批判の声も目立ちますが、幼いときから英語をシャワーのように浴びることで脳に英語の言語マップができる、耳がつくられる、など英語に馴染みやすい下地が築かれるという意見もあります。
遊びやほかの活動の時間を上手に確保しながら、子どもが自発的に英語に触れたくなるような取り組みを、家庭で相談しながら考えてみるとよいのではないでしょうか。