日本で否定的な意見が大勢を占める体罰。一方、「じゃあ、言っても聞かない子どもに、どうやってしつけをしたら?」と悩む保護者もいます。今回は、「痛い思いをさせる」といったことはしない、アメリカのしつけの方法をご紹介します。
自己肯定感が低い日本の子ども
今、教育の世界で、「自己肯定感」という言葉がホットです。よくいわれるのが、「日本の子どもは自己肯定感が低い」ということ。グローバル化社会において、世界に飛び出してリーダーシップを発揮する人材を育てたい国としては、自己肯定感が高い子どもを育て、彼ら彼女らに世界をリードしてもらいたいと考えています。
なぜ、日本の子どもは自己肯定感が低いのか。よく比較されるのがアメリカです。日本では「叱って育てる」一方、アメリカでは「褒めて育てる」という違いが背景にあるといわれます。
しかし、日本でも褒め育てはすでに一定の支持を得ており、実践している保護者も多いようです。また、人権意識が高いといわれるアメリカでは、しつけにおいて暴力こそ認められないものの、しっかりと悪いことには厳しく叱っているようです。
しかし、日本とアメリカでは育児での叱り方に違いがあるのをご存じでしたか?
アメリカは「痛い思い」をさせてしつけない
マンガの主人公が宿題を忘れると、学校で廊下に立たされるシーンがありますが、日常ではほとんど見なくなりました。これは、何を目的として課している罰なのでしょうか。「授業が受けられない苦痛」「じっと立っている苦痛」でしょうか。人から見られて「なにかやらかしたんだな」「バカだな」と辱めを受け続ける辛さもあるでしょう。
アメリカでは、「パブリックシェーミング」と呼ばれるしつけ法があります。
Public shaming 公共の恥
恥をおおやけにされることです。
前述のとおり、アメリカでは、子どもが悪さをしたとしても、頭やお尻を叩くことは立派な体罰で、人権を毀損するためNGです。代わりに、大人は例えば次のようなことをさせます。
- 廊下に立たせる
- 失敗をSNSで公開する
- 「私は◯◯をしました」と書いた看板を子どもの首にかけ、通りに立たせたり歩かせたりする
自己肯定感が高いアメリカ人は、人に辱められることを非常に嫌います。「こんなに恥ずかしい思いをするなら、もう悪さや失敗はしない」と反省し、自主的に怒られないように行動する、というのです。
民族性や文化の違いはあれど…
日本人なら、「力の暴力ではないけれど、心に深い傷を負わせてしまう」「恥ずかしい体験がきっかけで自殺をしてしまうのでは」など、マイナス面に目が向いてしまうかもしれません。また、アメリカでパブリックシェーミングが一定の成果を得ているのは、民族性や文化が関係しているのかもしれません。
子どもには向き不向きがあります。パブリックシェーミングは保護者にも勇気と恥に耐える力が求められる方法ではありますが、子どもが「恥ずかしい思いをするくらいなら」とプライドが高く主体的に動くほうなら、参考になる部分は取り入れてみてはいかがでしょうか。