国内でたびたび話題となる「キラキラネーム」。実は日本固有のものではありません。海外でもキラキラネームが存在し、物議をかもしているようです。
日本人はキラキラネームに不寛容?
キラキラネームという言葉がすっかり世間で認知されるようになりました。
一般常識では思いつかないような名前や読み方を広く指す言葉で、「光宙(ぴかちゅう)」「黄熊(ぷう)」「夢宇眠(むーみん)」「詩羽楊(じばにゃん)」など、人気キャラクター名に漢字を当てる例も見られます。
最近では、「偉人(ぐれいと)」「女神(さやか)」といった、完全に当て字のため全く読み方が分からない名前や、「宇宙(あーす)」「天使(ふぇあり)」といった、完全に当て字のため全く読み方が分からない&意味を誤っている名前も実在するようです。
実際に実在する名前なのか少し疑いたくもなるキラキラネームに対して、世間は「名付けられた子どもがかわいそう」「親の玩具のように扱われている」など概ね批判的な意見が多数。
キラキラネームが増加している理由としては、下記のような様々な要因が考えられます。
- 協調性ではなく個性重視の教育
- ゆとり教育による学習量減少
- 核家族化による親族の不介入
- ゲーム・アニメ世代の成長
- マタニティハイの影響
- ペット/アクセサリー化
日本人は、同一民族が狭い土地に肩を寄せ合って住んでいるため「少しの差異や変化に敏感で排他的」といわれています。そのため、外国人にくらべて個性的な名前に不寛容といえます。
海外のキラキラネームも多彩
アメリカの赤ちゃん情報Webサイト Nameberry によると、アメリカでは銃に関連した名前が急増しており、「Gunner(砲手、射撃手)」で、2014年の命名ランキングのトップ200に入りました。他にも下記のような、銃関連の名前が多く見られます。
- Cannon(大砲、砲撃する)
- Trigger(引き金、引き金を引く)
- Shooter(射手)
- Caliber(口径)
- Magnum(マグナム弾)
- Pistol(拳銃)
Nameberry より
日本人の感覚からすると「子どもに銃の名前なんて…」とギョッとしますが、さすが銃大国といったところでしょうか。
また、日本でも馴染み深いIT用語が名付けられたケースもありました。IT用語は一定の人気を得ているようで、他にも下記のような名前が実在するようです。
- Google(グーグル)
- Facebook(フェイスブック)
- Excel(エクセル)
- Hashtag(ハッシュタグ)
NEWS ポストセブン より
イギリスの赤ちゃん情報Webサイト TheBabyWebsite が2010年に行った「英米で最も不幸な名前」の調査結果によると、下記のようなファーストネームとラストネームを組み合わせた名前も増えてきているようです。
- Mary Christmas(メリークリスマス)
- Hazel Nuts(ヘーゼルナッツ)
- Sue Shi(= sushi 寿司)
- Minnie Skurt(= mini skirt ミニスカート)
- Hammond Eggs(= ham and eggs ハムと卵)
日本も海外も同様の問題が
日本では1993年に、今では元祖キラキラネームともいわれる「悪魔ちゃん」の名づけが不受理になったニュースが話題になりました。これと同様の事例が海外でも見られます。
海外では、「King」や「Princess」といった公式な称号、悪魔にちなんだもの、ヘビーメタルバンドにちなんだもの、下品なものや卑猥なものなどが広く社会性を考慮して申請が却下されているとのことです。
不快感を与える名前や人名にふさわしくない名前、不適切な命名が禁じられているスウェーデンでは、過去にこのよう事例がありました。
1991年、スウェーデンに住む夫婦が息子に43文字にも及ぶ名前を届け出たが裁判所に却下された。
Brfxxccxxmnpcccclllmmnprxvclmnckssqlbb11116
(読み方はアルビン)
この両親が息子の5歳の誕生日まで彼の名前を届け出ず、地方裁判所から罰金を科された。この処分に対して両親は「示唆に富む表現主義的な創作物で、私達は芸術的創造物の1つ」と主張したが、裁判所はこの届け出を受理しなかった。
これに不服とした両親は上訴したものの、法廷はこれを棄却すると共に前述の罰金の支払い命令を支持した。その後、両親は改めて息子の名前として下記の一文字を届け出た。
A(同じく読み方はアルビン)
この届け出も裁判所に却下されている。
Wikipedia より
名前は一生付き合っていくもの
キラキラネームの場合、受験や就職活動が不利になる傾向があるとされています。
周囲と違うキラキラネームの子どもは、いじめの標的になることもあり、困難を経て就職した際も、「恥ずかしいから」「いじられるから」「取引先に悪い印象を与えるから」などの理由で、本名を隠すために通称を使わざるを得ないケースもあるようです。
現状の法律では通称の利用を制限するルールはありませんが、履歴書や契約書への使用はNG。こうなると改名という手段を取るしかありません。
改名は15歳から本人のみでの申請が可能になります。
改名方法には大きく分けて2種類あり、読み方を変える方法と名前そのものを変える方法があります。
読み方を変える方法は比較的簡単とされ、役所の窓口で完了する一方、名前そのものを変える場合は家庭裁判所の許可を得る必要があり、その条件もぐんと高まります。正当な変更事由は、主に以下のような点が考慮されます。
- 奇妙な名前である
- 難しくて読めない
- 同姓同名者がいて不便
- 異性と間違われる
- 外国人と間違われる
- 神宮・僧侶になった(orやめた)
- 通称を長年使用している
裁判所Webサイト より
いずれの場合にも、具体的な事情を裏付けるために、裁判所からの照会や呼び出しがあったりする場合があります。
ただ、申し立てをしても許可されるとは限りません。「名前はむやみに変更されることが予定されているものではなく、あくまで社会生活上支障がある場合に例外的に認めれるもの」と考えたほうがよさそうです。
自分の子どもにこんな思いをさせたくはありませんね。名前はその個人が一生付き合っていく大切なもの。日本でも海外でも、子どものためになる命名が一番といえます。